2013 八ヶ岳 清里美し森〜真教寺尾根〜赤岳〜横岳〜硫黄岳〜天狗岳(東天狗・西天狗)〜奥蓼科温泉:渋の湯

2013の快速登山第1弾は八ヶ岳縦走。八ヶ岳南麓に山荘を持った記念に真っ先に八ヶ岳に登る!

 2006年の八ヶ岳本峰の縦走以来、八ヶ岳には入山していない。去年の9月に八ヶ岳南麓の清里に山荘を購入し、初めて迎える盛夏。これはマズ手始めに、久しぶりに八ヶ岳に登ってみよう。そうだ・・・、八ヶ岳連峰でまだ快速登山で登っていない100名山と200名山があったな・・・。

 よ〜し!天狗岳(200名山)をかませて八ヶ岳本峰(赤岳・横岳)を縦走だ!

 ということで、7月の三連休の初日、13日(土)にトレーニングをかねて今年最初の快速登山を実施することにした。

 スタート地点は山荘から車で20分ほどの清里美し森に設定。そこから真教寺尾根で一気に赤岳へ登頂。主脈の縦走に入り、横岳〜硫黄岳とこなし夏沢峠へ。そして今回のメイン・ターゲット:天狗岳をピークハントして茅野市の奥蓼科温泉郷に下山。

 これをやるには連れの協力が必要。早朝、早起きして車で美し森まで運んでもらい、午後は遙か茅野市の奥蓼科温泉郷の渋の湯まで車で向かいに来てもらわなければならない。

 帰り道で「おいしい焼肉を食わせてやる!」ということで何とか協力を得た。助かった〜っ(苦笑)。当日の朝、いざ、出陣!天候は良いハズだったのだが、スタートしてから時間が経つにつれて悪化の一途。どうも雲ゆきが怪しい・・・。

 さあ〜て、ど〜なりましたでしょうか(笑)・・・。

7月13日(土)
美し森〜真教寺尾根〜赤岳〜横岳〜硫黄岳〜夏沢峠〜根石岳〜東天狗岳〜西天狗岳〜唐沢鉱泉〜渋の湯

Map

■記録 (  )内のタイムは昭文社:山と高原地図 標準コースタイム

美し森駐車場
0:47:44 (1:20:00)
賽ノ河原 47:44
0:40:24 (1:30:00)
牛首山1:28:08
1:38:25 (3:10:00)
赤岳 3:06:33(休憩15:05)赤岳3:21:38
0:45:14(1:10:00)
三叉峰 4:06:52
0:43:58 (1:00:00)
硫黄岳 4:50:50
0:26:15 (0:40:00)
夏沢峠 5:17:05 (休憩8:04) 夏沢峠 5:25:09
0:42:27 (1:30:00)
東天狗岳 6:07:36 (休憩4:12)東天狗岳6:11:48
0:12:01(0:20:00)
西天狗岳 6:23:49
1:27:31 (1:55:00) 
唐沢鉱泉 7:51:20
0:32:00 (1:20:00)
渋辰野館 8:23:20

  昭文社:山と高原地図 標準コースタイム:13:55:00 (標準タイムの60.2%)

早朝4時50分、連れに車で美し森の駐車場まで送ってもらった。この時期は4時30分くらいで日の出。あたりはもう明るい。

午前5時ジャスト、出発!あの階段からマズは美し森山頂を目指す。ここから八ヶ岳に登るのは初めてである。

さすが観光登山コース、美し森まではこのような整備の行き届いた登山道が伸びてゆく。

秩父方面。天候は確実に良いと思っていたのだが、かなり雲が多い。

うほほ〜っ!
振り返ると絶景!気持ちいいっ〜!
森の中から浮かぶように伸びる木道。遙かかなたには富士山も見える。

霞んではいるが、南アルプスの甲斐駒から鳳凰三山への稜線、北岳もなんとか見える。

あっという間に美し森到着!初めて来ました。

展望台前の広場からはこれから登る赤岳(2899m)が正面に見える。今日はスキー場脇を登り、左手の牛首山(2280m)を越え真教寺尾根にでて山頂を目指す。

美し森をゆく・・・。

実に綺麗な森だ・・・。

標高1610mにある羽衣の池が現れた。

小さな湿原にある小さな池だ。

笹の覆われたカラマツ林のトレイルに入り、牛首山を目指す。

スキー場を越えてしばらく進むと砂礫の広がる広場が見えてきた。賽ノ河原である。ここまで47分で到達。標準登山時間が1時間20分なのでマズマズの入りである。

左手には南アルプスの山並み。この頃から少し風が強くなってきた。

賽ノ河原をゆく。これから牛首山に取り付くのだ。

いきなり笹原の急登。ここはヤヤ笹漕ぎ状態・・・。

急登が終わると笹原のトラバース。

清里高原の台地が遙か下に広がっている。

八ヶ岳牧場が下に見える。茅ケ岳の頂上への稜線の向こうには富士。

あたりの樹林はカラマツからシラビソやツガに変わり、トレイルが伸びてゆく。

牛首山(2280m)山頂。牛首山の山頂は樹林に囲まれており、ほとんど展望は効かない。ここまでで早くも高度約800m稼いだ。

いよいよ真教寺尾根へ突入だ。GO!

しばらく平坦なトレイルをゆく。前面に赤岳が見えてくるがどうやら雲の中。

ご覧のとおり山頂部はスッポリ雲で覆われている。

左の岩峰だけ頭まで出ていた。

平坦部が終わると一気の急登になる。いよいよ赤岳の主稜線に取り付いたワケだ。一気に高度を稼ぎ牛首山が下になってくる。

清里と奥秩父方面は見通しが効くが、上空は雲に覆われている。どうやら今回の天候はよろしくないようだ。ガックシ・・
・。

倒木帯を通過・・・。

すると本日初めての岩場。いよいよ真教寺尾根の核心部に突入だ!

うほほっ〜・・・。
このあたりは実にアルペン的、北アルプス並みの岩場があるのも八ヶ岳本峰の魅力である。

そりゃ〜っ!山頂部が近づくほどに急峻さを増してゆく。さすが赤岳である。

岩場と格闘すること数分、いきなり頂上直下の尾根の飛び出す!これで真教寺尾根は終了。

ガスに包まれた岩稜を進む。視界は30mくらいか・・・。

垂直に近いハシゴを登る。もう頂上は近い。

強風の吹く赤岳(2899m)山頂、3時間6分で到達した。残念ながらサブスリーならず(笑)。でも標準時間の約半分で来たのでヨシ!としよう。

山頂にはこのような祠がある。賽銭を投入し、登山の無事をお祈りした。

もう一枚山頂写真。この道標の方がかっこイイ(笑)。風が強く寒いので、岩陰にかくれて朝食を取り、さっさと山頂を後にした。山頂にいたのは私を含め、たった5人でした。

山頂より高度約260mを駆け下り、肩にある赤岳展望荘が見えてきた。

赤岳天望荘は標高 2,722mの赤岳主稜線上に位置する。実に立派な山小屋だ。36室もの個室があり、ナントごえもん風呂にも入れる。水洗トイレ完備で食事はバイキングというから驚きだ。

そんな素晴らしい展望荘をスルーし横岳へ向かう。西側(原村側)からの風がかなりの強さで吹き上げてくる。天候は最悪だ・・・。

横岳へのヤセ尾根をゆく。雨も降りだし岩がすべり、視界も効かないので危険箇所は慎重にゆく。

杣添(そまぞえ)尾根との分岐に来た。この分岐のところが三叉峰である。

三叉峰から少し行くと奥ノ院:横岳(2829m)山頂。風雨が強くここはスルー。山頂道標も倒れていた。

横岳山頂から台座の頭の間はヤセ尾根。左サイドは断崖絶壁でスッパリ切れているところが多発。大同心、小同心といった岩壁もここにある。風雨に打たれながら通過してゆく。もはや修行になってきた。

硫黄岳山荘前を通過。硫黄岳山域に入ると、風雨を遮るものがまったく無く吹きっさらし。飛ばされそうになりながら進む。小石が顔に当たって痛い。ただ救いは、風が夏の風でそう冷たくはないこと。

硫黄岳は大斜面の山で、このようにガスって視界が効かないと迷いやすい。なのでこのように大きなケルンがトレイル沿いに立っている。ケルンを目当てに山頂へと登ってゆく。

硫黄岳(2760m)山頂。まるで視界なし。さっさと退散。

広大な山頂部。しっかりと夏沢峠までの方角を確認し進む。

硫黄岳から一気に駆け下り、夏沢峠へ到達。この峠が南八ヶ岳(赤岳を中心としたアルペン的な主脈)と北八ヶ岳(縞枯山などの静かでのどかな山域)のホボど真ん中である。

夏沢峠から登り返して根石岳(2603)通過。相変わらず稜線は風雨が強く、突き進むしかない。

つぎは今回のメインターゲット:天狗岳だ。直下に入ってきた・・・。

お〜、山頂が見えてきた。皆さん、風にあおられて大変そうだ。

標高2646m、東天狗岳山頂。

快速登山としては初登頂である。日本200名山のひとつ。短パンなので「寒くないんですか〜!」と他の皆さんに言われるが、風が冷たくないのでなんとか耐えられるのである。

さっさと東天狗を後にして吊り尾根を進み、約12分で西天狗岳(2646m)山頂。東と西ともに同じ高さである。天狗岳は日本三大双耳峰のひとつで、晴れていればその見事な瓜二つの山頂が見える。ちなみにあと鹿島槍と谷川岳が三大双耳峰である。

休むことなく山頂を通過。早く森林限界を下回り森の中に逃げ込みたい。西尾根を駆け下り、第一展望台通過・・・。

西尾根と唐沢鉱泉との分岐くらいから森の中に入り、強風とはさようなら。さらに駆け下り、身体も暖かくなってきたところで前方が開けてきた。

お〜っ、下界だ〜っ!

橋を渡るとそこは唐沢鉱泉だった。降りてきた山域を振り返る。やはり上空の雲は厚い。今日は「晴れ」のハズだったのに・・・。ひどい目にあった。

この写真を撮り唐沢鉱泉へ向かおうとした矢先。「痛て〜っ!」。なんとアブの大群が襲いかかってきて刺された。猛ダッシュして逃げる。

唐沢鉱泉さんに一時避難。聞けば、「今年はアブが大量発生している。」とのこと。またしてもひどい目にあった(苦笑)。

あたりにアブがいないことを確認し、ダッシュして建物を出て林道へ。これからひとつ向こうの尾根筋にある渋ノ湯まで行かねばならない。失敗した。こんなに唐沢鉱泉が立派であれば、ここで鉱泉に入り、ここに向かいに来てもらえば良かった。入浴料も700円と安いし・・・。

ひとつ尾根を横切って奥蓼科に入って来た。林道も下りだし、ゴール地点の渋温泉:辰野館が近いことがうかがえる。ここで連れから連絡が入り、辰野館にスデに到着したとのこと。先に温泉に入って待つように指示した。

左前方には蓼科の台地と北八ヶ岳の峰々。やはり中腹より上は雲で覆われている。

すると間もなく林道は終わりロードへと飛び出した。

辰野館まで最後のラン。

渋温泉:辰野館に到着。8時間23分にわたる修行が終わった。

導入路からして奥ゆかしい。歴史と伝統を感じる・・・。

ドド〜ン!
これは立派で由緒ある玄関である。初めて来たが驚いた。

それでは折角なので、おまけに辰野館さんの様子をリポートしましょう! 玄関を入るとこんな感じ。

館内には信玄の薬湯、森の温泉、展望風呂の3つの湯船がそれぞれ男女各1つづつある。やはり名物の信玄の薬湯へ向かった。

ここが信玄の薬湯。手前に打たせ湯がひとつ。奥に乳白色の温泉湯壺がひとつあります。

手前の打たせ湯。注ぎ落ちた湯が、風情ある湯壺を青みがかった乳白色に変えながら満たしてゆきます。

奥の湯壺は完全に乳白色。

どうです!この白さ!
雄将・武田信玄が上杉謙信との合戦のため、八ヶ岳を巻いてこの奥蓼科を通る「信玄の棒道」を作った時に、この湯の薬効に驚き傷兵たちを湯治させた。それ以来「信玄の薬湯」と呼ばれるようになったそうです。

あ〜っ・・・、極楽、極楽!
山を下りての温泉はたまりませんね〜!(喜)。今回は修行でしたからなおさらです。でも、素晴らしい展望を皆さんにお伝えするため、必ず天気の良い時に再度このルートにチャレンジしますね!

■この快速登山に対する感想をお聞かせください。
感動した 面白かった 普通 つまらない 

    

  



過去の快速登山

2013年 北アルプス
七倉〜ブナ立尾根〜烏帽子〜南沢岳〜不動岳〜船窪岳〜北葛岳〜蓮華岳〜針ノ木岳〜扇沢(1泊2日で北アのマイナールートをゆく)

2013年 南アルプス
塩見岳から南アルプス北部大縦走 鳥倉林道〜塩見〜間ノ岳〜北岳〜仙丈〜甲斐駒〜黒戸尾根〜駒ケ岳神社(2泊3日で完踏)

2013年 中央アルプス
伊那谷から中央アルプスの秀峰3座を越えて木曽谷へ 中央アルプス大縦断 駒ヶ根バスセンター〜空木岳〜南駒ケ岳〜越百山〜JR中央本線:須原駅(夜行日帰で完踏)

2012年 甲斐駒ケ岳・黒戸尾根ピストン
竹宇駒ケ岳神社〜黒戸尾根〜甲斐駒ケ岳〜黒戸尾根〜竹宇駒ケ岳神社

2012年 谷川岳ピストン
西黒尾根〜谷川岳〜天神尾根〜田尻尾根

2012年 奥多摩
深山橋(奥多摩湖畔)〜ヌカザス山〜三頭山〜御前山〜 大岳山〜御岳山(日帰で奥多摩三山をゆく)

2011年 北アルプス
中房温泉〜合戦尾根〜燕山荘〜燕岳〜東沢乗越〜東沢岳〜剣吊(ケンズリ)〜餓鬼岳〜大凧山〜白沢三股

2011年 北アルプス
上高地〜岳沢経由〜前穂〜奥穂〜涸沢〜徳澤〜徳本峠〜霞沢岳〜上高地(1泊2日で穂高を満喫)

2011年 南アルプス
光岳〜聖〜赤石〜悪沢:南アルプス南部全山縦走 赤石まで2泊3日

2010年 南アルプス
悪沢岳〜赤石岳〜聖岳〜光岳:南アルプス南部全山完登(途中敗退)2泊3日

2010年 南アルプス
広河原〜北岳〜間ノ岳〜農鳥岳〜奈良田 夜行日帰り

2010年 南アルプス
夜叉神〜鳳凰三山〜アサヨ峰〜仙丈ケ岳〜北沢峠 1泊2日

★その他は快速登山トップページをご覧ください。(完登リストもあります)