2013 南アルプス 塩見岳から南アルプス北部大縦走 鳥倉林道〜塩見〜間ノ岳〜北岳〜仙丈〜甲斐駒〜黒戸尾根〜駒ケ岳神社(2泊3日で完踏)

2013の快速登山第3弾は 快速登山開始よりアルプスで唯一未踏の百名山:塩見岳の登頂。せっかくなので南アルプス北部の百名山(間ノ岳・北岳・仙丈ケ岳・甲斐駒ケ岳)を2泊3日で完全踏破!

 昨年の夏は、練習不足および体重増加(笑)、さらに夏バテによる体調不良が重なり、快速登山の基本である「縦走」を行えずピストン山行2回で終わった。今年は練習量はたいしたことはないが、食事制限などの節制をしてなんとか体重を69k台に乗せ、マズマズの体調。八ヶ岳の縦走、七倉から烏帽子〜船窪〜針ノ木の縦走をこなし、いよいよ・・・

今年こそは絶対に塩見岳を踏破し、快速登山において北、中央、南のすべての百名山を完登!さらに塩見から南アルスルの北部の巨峰:4座を縦走してやる!

 2004年から始まった「快速登山」。南アルプスのド真ん中に聳える塩見岳(3050m)を残し、2011年には北、中央、南の百名山は完登。今年こそは塩見をやっつけて日本アルプスの百名山の完登。これが2013の快速登山の大目標である。

 では、どう塩見を登るかだ。マズ基本である大縦走でなければならない。できれば2泊3日以内。3泊4日は今の体力では無理だ・・・。

よ〜し!2泊3日でマズは伊那谷:大鹿村から塩見を踏破し、その後南アルプス北部の百名山4座を大縦走し甲州:白州に下り、清里の山荘に行こう!

 せっかく清里に山荘を持ったので、終着点をそこに設定。なにしろ山荘からは北岳、甲斐駒、仙丈の山頂部が見える。この3つの巨峰の頂から山荘を見下ろしてみたかったのである。

 さっ、どうなりましたでしょうか!どうぞお楽しみください。「快速登山」シリーズで一番の大作になっております。

8月10日
鳥倉林道ゲート〜三伏峠〜塩見岳〜熊ノ平小屋

Map1

■記録 (  )内のタイムは昭文社:山と高原地図 標準コースタイム

鳥倉林道ゲート
21:26 (0:30:00)
登山口 21:26
1:32:07 (3:00:00)
三伏峠 1:53:33 (休憩8:23) 三伏峠 2:01:56
1:51:08 (3:10:00)
塩見小屋 3:53:04
54:43(1:20:00)
塩見岳 (3052m) 4:47:47 (休憩22:38) 塩見岳(5:10:25)
2:14:23(2:55:00)
小石峰 7:24:48 (休憩8:53) 小石峰 7:33:41
52:06(1:30:00)
熊ノ平小屋 8:25:47

  昭文社:山と高原地図 標準コースタイム:12:25:00 (標準タイムの67.8%)

午前5時に伊那大島駅前からタクシーに乗り、午前6時には鳥倉林道のゲートに到着した。バス待ちだと到着が9時近くなるので非常にラッキーだった。料金はバスとそんなに変わらない。

タクシーで一緒だったkontakaクン。伊那大島駅に午前4時に着いたときから二人でタクシーに乗ろうと協力しあった仲。他の2人組がタクシーを5時に予約していたので、すかさず相乗りしたのである。ありがとね〜!もうすぐお子さんが生まれるそうで、今回は特別に奥様から許可をもらっての登山ということ。良い登山になりますように!

午前6:17分、ゲートを出発。登山口までの舗装路を軽くJOGしてゆく。

快晴、実にいい天気だ!

緩やかだが延々と登りが続く林道をゆく。ゲートが標高1630m、登山口が1780mなので約2kで高度150mを稼ぐJOGである。

約20分で鳥倉林道:豊口山登山口に到着。ウオーミング・アップには最適な林道だった。バスはゲートを開けてここまで入ってくる。

さあっ、登山道に突入!三伏峠まで高度805m、塩見岳までは高度1272mを稼ぐ登りの始まりである。

のっけから急登だが、カラマツの美しい森が広がり気持ち良く登れる。

三伏峠まではこのような道標があり、どのくらい進んできたか確認できる。どうやら1区間を約10分で通過している。このペースだと約100分、1時間40分ほどで三伏峠に着けそうだ。

途中水場あり。

9/10まで来たぞ!

いよいよ三伏峠直下に入ったようだ。稜線が近いのか陽が差し込んでくる。

おお〜っ!
木々の間から塩見岳(3052m)が姿を現した!
いい天気だ!

あと200m!

日本一高い「峠」、標高2585mの三伏峠に到着!約30年ブリ。

この大きくてアルファベットで書かれた道標は印象的だ。残念ながら周辺は樹林に囲まれて展望はない。

峠には三伏峠小屋がある。歴史的には明治の初め、1886(明治19)年秋、この峠を通る山梨県と長野県を結ぶ伊奈街道が開通した。全長約80キロメートルの街道で、山梨県側の早川の新倉から山に入り、転付(でんつく)峠を越え大井川の二軒小屋へ。大井川西俣に沿って三伏峠に登り、長野・大河原に下り、飯田に出たのである。山間部の道幅は約60センチ。山梨県側だけで実に延べ15万人が工事に携わったという。しかし中央線の開通で使われなくなり荒廃。現在は一部が登山道として使われている。

登山口から1時間32分で到着。コースタイムのホボ半分で来た。マズマズの入りである。

峠で朝飯を食って出発した。塩見岳方面へGO!

テン場の横を通過してゆく・・・。

テン場からは三伏山越しに塩見岳の山頂部が見える。ナカナカ快適なテン場だ。

スグに分岐に到達。右に行けば荒川・赤石・聖を中心とした南アルプス南部へ。左に行けば北岳・間ノ岳を中心とした南アルプス北部だ。ここは南アルプスのほぼ中央の分岐といえる。

写真で良く観るお花畑を経由してもいいのだが、やはり三伏山からの塩見がいいのでお花畑はパス。ハイマツに覆われた山頂直下に入った。

三伏山(2615m)山頂。塩見岳の展望がすこぶる良い。

振り返れば三伏峠・・・。

ハイマツに覆われた山頂部をゆく。これから登ってゆく左奥の本谷山から塩見岳への稜線が優美に伸びている。その稜線の奥には白根三山(北岳・間ノ岳・農鳥岳)がくっきりと浮かんで見える。

本谷山との鞍部まで下り、マルバタケブキの黄色い花が咲き乱れる高茎草原のお花畑を登り返す。この時期、この山域のお花畑はマルバタケブキの全盛期である。

本谷山山頂(2658m)。樹林に囲まれており展望はないが、唯一、塩見の方角だけ少し展望がある。

本谷山の山頂直下の展望が効くところからの塩見岳

同じく本谷山直下より、烏帽子岳(2726m)と前小河内岳(2784m)の奥に堂々の荒川三山。左奥の大きな山が悪沢岳(3141m)である。

本谷山からは立ち枯れ木が目立つ尾根道が続き、美しいオオシラビソの原生林に囲まれた権右衛門山の南斜面を進むと塩見新道との合流点。もうすぐ稜線だ。

ハイマツの尾根に出た!左手にはガレ山の北荒川岳の彼方に右から農鳥岳、間ノ岳、そして左奥に仙丈が岳がクリアーに見える。

振り返ればど真ん中に三伏峠。峠の右に踏み越えてきた本谷山。左には烏帽子岳から荒川岳へと続く稜線だ。

ほどなく塩見岳の大きな山塊が目の前に現れ、塩見小屋が見えてくる。

標高2755mの塩見小屋到着。ここまでコースタイムの58%とマズマズのペースで来た。ここは休まず通過・・・。

いよいよ塩見岳山頂が迫ってきた。あの奥のピークが山頂だ。

マズは西峰(3047m)を目指し、ごつごつした露岩帯を登ってゆく。

山頂の前鋭鋒:天狗岩避けて、右から巻くように露岩帯をゆく・・・。

お〜、荒川三山の眺めが素晴らしい!

天狗岩を巻き、西峰の直下に入った。

さあっ!西峰への最後の登りだ!

西峰へは岩場の連続!

このようなところが一番危ない。浮石が多く、落石を起こされたら大ケガだ。自分もスピードを十分に落とし、前方に注意を払いながら、絶対に浮石に乗らないように慎重に登る。

落石注意の道標の遙か下に塩見小屋が見える。もう高度約300m下になった。

危険な岩場を抜けた。すぐそこが頂上だ!

塩見岳西峰(3047m)登頂。

三角点を踏んで・・・と。

スグとなりの東峰に向かう。この山も低い西峰の方に三角点がある。

祝:登頂!塩見岳:東峰(3052m)。これで快速登山では北・中央・南の3つのアルプスの百名山はすべて完登ということになった。

振り返れば西峰。

大快晴の山頂からの大展望。マズは南には荒川三山と南部の峰々・・・。

南東には蝙蝠岳(2865m)。実はこの山は非常に好きな山。山頂は非常に広々としており遮るものもなく360度の展望。まさに南アルプスのド真ん中に位置し、塩見を含め、南アルプスのすべての3000m峰を眺めることができる。この山の山頂でビバークし、満天の星空を見ながら、ひとり酒を飲むのが晩年の夢である。

蝙蝠岳、アップでいっちゃいますね(笑)

北西には踏み越えてきた三伏峠から烏帽子〜前小河内〜小河内へと荒川三山へと続く稜線だ。タクシーで一緒だったkontakaクンはあの稜線のどこかを進んでいるだろう。

そして北には
農鳥岳(3050m)、
間ノ岳(3189m)、
北岳(3193m)の白根三山の3000メートル峰。左奥に仙丈ケ岳(3033m)。中央やや左の一番奥に山頂部に雲がかかる甲斐駒ケ岳(2967m)の峰々。農鳥を除きすべてこれから登ります。

白根三山のUP。右手前の農鳥岳はここから見ると形も良くて、実に大きい山。百名山からどうしてハズレたんだろうか・・・。(望遠撮影)

さらに北岳と間ノ岳のドUP!間ノ岳がでかい!(超望遠撮影)

山頂でタップリ展望を楽しんだ後、下降を開始。北俣岳へのジグザクのトレイルを下る。左サイドは大ガレで崩落している。

振り返れば東峰上空、紺碧の空の彼方にジェット機雲。・・・

北俣岳から蝙蝠岳方面への分岐に到着。

ここからの塩見岳の形がやはりいい。まさに鉄兜を思わせる山容だ。遠くから見ると黒く見え、「漆黒の鉄兜」といわれる由縁である。深田久弥は「塩見岳の特徴は、漆黒の鉄兜、あるいはズングリした入道頭、こう覚えておけば、遠くの山から南アルプスを眺めても、その中に塩見岳を見落とすことはないだろう。」と日本百名山に書いている。

実はこの分岐で5分ほど迷った。蝙蝠岳をピストンするかどうかで。タクシーに乗れたので、スタートが早く切れ時間的には十分に可能。しかし、寝不足からか、軽い高山病にかかり頭痛がしている。非常に迷ったがやめておいた。「さよなら蝙蝠。また来るよ!」と蝙蝠をもう一度眺めて先を急いだ。

ということで、頭も痛いし一刻も早く本日の宿泊地:熊の平小屋に着くべく出発。北荒川岳までの稜線を駆け下る。左サイドはガレ、右サイドはグリーン地帯と対照的にセパレートされたアルプスっぽい稜線だ。

突入〜っ!

快調に駆け下る。

塩見とジェット機雲

稜線の下部まで降り立った。バックには迫力の塩見岳。

ちょっと一息・・・。

ここからは平坦な尾根。飛ばせる!この稜線は今日のハイライト!

すると左サイドのガレ場を避けて、ルートは右サイド(東斜面)のダケカンバの森に入ってきた・・・。

振り返ると素晴らしいグリーンベルトの中を進んでいるのがわかる。実にアルプスらしい景観だ。塩見岳もずいぶん遠くなった・・・。

実に気持ちの良いトレイルである・・・。

素晴らしく青い空・・・。

おおっ!
お花畑が見えてきた。

素晴らしいお花畑!マルバタケブキの大群落の黄色い花が満開だ!

お花畑とお花畑を繋ぐトレイルの実に爽快なラン。幸せ!

ここも素晴らしい・・・。

まるで空まで続くような黄色一面の大お花畑。幸せなトレイルでした。

お花畑を抜けると北荒川岳(2698m)の山頂だった。

ここから熊の平小屋までの稜線は平らな樹林帯。マズはハイマツ帯のトレイルに突入!間ノ岳、農鳥岳がすいぶん近くなった。

樹林帯の中を進むのだが、時よりこのような視界の開けるところもある。

小石峰と呼ばれる見晴らしの良い岩峰に到着。塩見が彼方になってきた。

ここで初めて熊の平小屋が見えた。もうすぐだ・・・。間ノ岳へと続く稜線上の三峰岳(2999m)の小ピークが印象的である。明日はあそこを登ってゆく。

さらに進むと安倍荒倉岳(2696m)の山頂付近のハイマツ帯に入り、間ノ岳が正面にど〜んと大きく見えてきた。この尾根を下り、あの下のコルの森を右に下ってゆくと小屋はもうすぐのハズだ。

見えてきた〜っ!

鳥倉林道より8時間25分もかかり、熊の平小屋到着。後半は体調不良でメロメロだった。蝙蝠岳のピストンはやらずに良かった・・・。

熊の平小屋。標高2575m、北岳・仙丈ケ岳と塩見岳を結ぶ長大な仙塩尾根の中心部に位置する。東海フォレストが運営するなかなか立派な小屋だ。

小屋の前には広いデッキがあり、正面に農鳥岳を望む。ここからの農鳥は形が異なり、別の山を見ているようである。マズは初日の登山は終了である。

小屋の内部も実にきれい。なんといっても夏山登山最盛期でもここまで入る登山者は少なく、ゆったりと過ごせるのは幸せである。

そして「水」も豊富。水場は小屋のスグ前を少し降りたところにある。思い切り「水」を浴びて(冷たくで気持ちいい)汗を拭きとり着替えを済ます。水がいくらでも使えるのは本当にうれしい。

そしてこの「水」、冷たくて大変においしい!
ガブ飲みだ!

ペットボトルに詰めると、水が冷えているのでペットが曇って汗をかくほどだ(喜)。

落ち着いたところでビール!ビール!800円の貴重なアルコールを戴きまする!

乾杯〜!

4時30分から早めの夕食。同じ区画になって、おしゃべりしていた皆さんと食堂へ・・・。

ここはストーブが常時焚かれているようで暖かい・・・。

こんな山奥でこんなに豪勢な夕食。ありがたや、ありがたや。

寝る前に小屋の周りを散歩することにした。この小屋の周辺は実にいいところなのである。外の寒暖計は18℃くらい。涼しくて気持ちいい・・・。

ここはキャンプ指定地になっており、25張のキャパをもつ展望の良い快適なテン場がある。学生時代、重たい荷を担がされてボロボロになってここに到着した時、オアシスみたいなところだったので、強く思い出に残っているテン場だ。

乗越沢の深い谷への南斜面にはお花畑。

反対側の山側を見てもお花畑。一面がお花畑になっている。

北東には明日マズ登頂してゆく三峰岳(2999m)の岩塔が見える。

広大なお花畑の上空には青空・・・。今日は実に良い天気だった。明日も良い天気になりますように。このあと小屋に戻り6時半には床に就いたのでありました。

2日目スタート

8月11日
熊ノ平小屋〜三峰岳〜間ノ岳〜北岳〜広河原〜北沢峠〜馬ノ背ヒュッテ

Map2

■記録 (  )内のタイムは昭文社:山と高原地図 標準コースタイム

熊ノ平小屋
1:22:04 (2:00:00)
三峰岳 (2999m) 1:22:04( 休憩20:42) 三峰岳 1:42:46
37:38 (1:00:00)
間ノ岳(3189m)2:20:24 (休憩7:52) 間ノ岳 2:28:16
56:41 (1:20:00)
北岳山荘 3:24:57 (休憩11:52) 北岳山荘3:36:49
49:53(1:20:00)
北岳(3193m) 4:26:42 (休憩22:28) 北岳 4:49:10
22:19(0:20:00)
肩の小屋 5:11:29
1:06:08(1:30:00)
二股6:17:47
1:09:10(1:35:00)
広河原 7:26:57(休憩21:57)広河原 7:48:54
1:08:03(2:05:00)
北沢橋 8:56:57
46:37(1:20:00)
北沢長衛小屋 9:43:34(休憩11:29)北沢長衛小屋 9:55:03
1:10:59(2:00:00)
五合目11:06:02
39:27(1:00:00)
馬ノ背ヒュッテ11:45:29

  昭文社:山と高原地図 標準コースタイム:15:30:00 (標準タイムの75.8%)

午前3時起床。42分には闇夜をついて小屋を出発した。第1目標の間ノ岳のピークまでは高度約600mを稼ぐいきなりの急登である。三国平あたりまで登ってくると、暗闇の中に大きな間ノ岳のシルエットが薄〜く浮かび上がってくる。

西の空が徐々に明るくなる・・・。

三峰岳のとんがった岩塔の黒いシルエットの左奥で、甲斐駒ケ岳が朝日に染まり、赤く輝きだす。今日も快晴だ!

おおっ!富士が黎明の時を迎え、赤く輝く大気の中にそのシルエットを浮かび上がらせる。

三峰岳に接近し、間ノ岳への稜線が見えてきた。ご来光、いや陽を拝むのは、行く手に間ノ岳が立ちふさがって、かなり先のことになりそうだ。

三峰岳の直下に入った。

三峰岳(ミブダケ:2999m)山頂。剣岳とちょうど同じ高さである。比較すると後方の間ノ岳の高さがよくわかる。小屋から高度約400m稼ぎ、これから約200m稼げば間ノ岳山頂だ。ここで黎明の時を見ながら朝食だ。

北方面。仙丈ケ岳、甲斐駒ケ岳、北岳が澄んだ朝の空気の中、朝日を浴びてくっきりと見渡せる。

仙丈ケ岳(3033m)が順光に輝きだす。あの山頂から伸びてくる稜線が長大な仙塩尾根の発端である。

振り返って南方面。中央奥に塩見岳、そして昨日進んできた仙塩尾根が塩見に向かってホボ水平に伸びてゆくのが見える。塩見の奥には悪沢岳・・・。

塩見岳を望遠撮影する。奥の悪沢岳(3141m)と荒川中岳(3083m)の稜線の奥に赤石岳(3120m)の山頂部のみチラッと見える。

南東には農鳥岳(3050m)が朝日を浴びている。

熊の平小屋がもうあんなに下になった・・・。

さあっ、間ノ岳山頂に向けGO!

高度を上げてゆくと、だんだん北岳(3193m)の山頂部が現れてくる。

山頂直下。ここでやっと太陽のおでましだ。

着いた〜っ!
間ノ岳山頂。道標がなければそのまま通り過ぎてしまうほど広いピークである。

快晴の間ノ岳(3189m)山頂。日本第4位の高峰である。

三角を踏んで、と・・・。

もうひとつの山頂道標の前でも登頂写真デス(笑)

山頂よりのパノラマ@南側 左手前から農鳥岳、右奥に塩見、その奥に荒川三山と赤石山脈の主脈が続く。

農鳥岳のUP。右端が西農鳥岳(3050m)、左端のピークが農鳥岳本峰(3026m)である。

塩見岳の望遠撮影。先ほどの三峰岳山頂からとは違い、悪沢と中岳の間から赤石岳の山頂が大きく見えている・・・。

山頂よりのパノラマA北側 左奥に仙丈ケ岳、中央最奥に甲斐駒、そして右手前のから伸びる稜線の向こうに北岳

北岳UP 実に均整のとれた三角錐である。(望遠撮影)

なんど見ても飽きない仙丈ケ岳の大きな山容。南アルプスの女王といわれる優美な山容だ。(望遠撮影)

山頂からのパノラマB東側 中央アルプス連峰の峰々

約8分頂上に滞在し出発。

3000mの稜線を北岳に向かう。

振り返ると間ノ岳の大きな山頂部・・・。

中白根山(3055m)ピークが近づいてきた。北岳山荘の手前まで3000mの雲上の稜線が続く・・・。

中白根山山頂直下。

中白根山山頂。この3055mの山頂もキャッチボールがラクラクできるほど広い。

山頂からは、さきほど通過した三峰岳から仙丈ケ岳に続く仙塩尾根が、右に大きく落ち込みながら伸びてゆくのが見える。仙丈ケ岳と三峰岳間の最低コルである野呂川乗越まで実に高度700mも下降する尾根である。

三峰岳(望遠撮影)。この岩塔の山は実に特異な山容で目立つ。特に2999mとほぼ3000mなので、3000mラインがどこから上なのかを知る目印になる。

そして中白根山からの北岳の姿は素晴らしい。深田久弥は「日本百名山」で北岳をこう称している。「屹と天を突くような鋭い頭角を上げ、颯爽として軽薄でなく、ピラミッドでありながら俗っぽくない。惚れ惚れするくらい高等な美しさである。富士山の大通俗に対して、こちらは哲学的である。」と。

がんがん下ると標高2880mに建つ北岳山荘が見えてきた。

北岳山荘前に到着。はるか彼方の天子山脈の向こうに富士が浮かんでいる。ちなみにこの北岳山荘は黒川紀章氏が設計したのだが、あまり知られていない。

端正な三角錐の山頂部の山容は、北岳山荘から眺めるとより素晴らしい。

さっ、出発!少し登って振り返れば中白根山から間ノ岳への3000mの稜線。その上にスカイブルーの空が広がっている。今日も大快晴である。

いよいよ北岳の南面を直登だ!大迫力の北岳南面。

山荘から高度300m稼げば山頂。いきなりつづら折りの急登である。

ひと登りして肩に出た。山頂までは急峻な尾根が続いているのがわかる。

西斜面のトラバース・・・。

じわりじわりと頂上が近づいてくる。

危険な岩場にはロープがフィックスされている。これを越えれば頂上直下だ。

振り返ると圧巻の間ノ岳。実に大きな山だ。さきほど越えて来た山頂から中白根山、そして北岳山荘までの稜線が綺麗に見えた。

遂に頂上稜線に出た!

山頂部に出た!

着きました〜〜っ!

北岳山頂(3193m)、日本で二番目に高いところ(喜)。

三等三角を踏んで、と・・・。

まずは南東に富士山(3776m)のお出迎え。

北西には仙丈ケ岳(3033m)。

頂上パノラマ@ 南方面 間ノ岳、農鳥岳、そしてその奥に塩見岳。

三峰岳から間ノ岳への稜線の向こうに塩見岳(望遠撮影)。中白根山のまっ平な山頂が印象的だ・・・。

頂上パノラマA 北方面  早川尾根のアサヨ峰と栗沢山の稜線の向こうに甲斐駒ケ岳。

甲斐駒ケ岳(2967m:望遠撮影)。北岳山頂からだと山頂部の花崗岩の白い輝きが秀逸。

頂上パノラマB 北東方面 早川尾根と鳳凰三山

右から地蔵岳のオベリスク(2764m)、そして高嶺(2779m)。そこから左に落ち込んだ最低コルが白鳳峠である。この北岳山頂からあの白鳳峠の結んだ直線の延長線上の彼方に上津金の我が山荘がある。下界は雲で覆われて見えないが・・・。

上パノラマC 西方面 仙塩尾根の彼方に中央アルプス連峰。

約22分山頂で大休止して肩の小屋方面に向け出発。山頂部を振り返る。

駆け下って少しすると肩の小屋が見えてくる。

右手には鳳凰三山。そして、これから降りてゆく大樺沢(おおかんばざわ)の深い谷と下山地点の広河原が見える。

両俣小屋への分岐。実は本来はここで両俣小屋へ下り、野呂川乗越から仙塩尾根を仙丈ケ岳に登り返す作戦であったが3年前から通行禁止とか。でも「通行禁止」等の表示はまったくない。危険だね。知らなかったら突っ込んでた。

肩の小屋接近。ここの展望も開放的ですばらしい。

標高3000mジャスト!北岳肩の小屋に到着。

吸い込まれるような紺碧の空のもと、肩の小屋を通過してゆく・・・。

なだらかな稜線を進むと、下に小太郎尾根と大樺沢への分岐が見えてくる。

分岐の向こうに野呂川の深い谷を挟んで、高嶺(2779m)、地蔵岳(2764)、観音岳(2840m)揃い踏み。

早川尾根の向こうに八ヶ岳連峰。とんがったピークが赤岳(2899m)である。

分岐に立つ。見事なまでに雲ひとつない青空。真夏にこんなに良いコンディションはめったにない。山の神様に感謝だ。

小太郎尾根の向こうに甲斐駒。この分岐からの展望は気に入っている。

手前に小太郎山(2725m)の山頂のピーク。谷を挟んで早川尾根の盟主:アサヨ峰(2799m)の岩がゴツゴツ突き出た山頂。そして花崗岩で白く輝く甲斐駒の山頂部だ。(望遠撮影)

さっ、広河原へ下山開始。しばらく展望とはお別れだ。北岳に入るととたんに登山客の数が増える。この山域は槍穂並みの人気だ。

花の開花期が終わったお花畑を通過。7月中、このあたりはシナノキンバイの黄色い花で埋め尽くされる。

二股に向かいガンガン下る。登山道の整備はご覧のように素晴らしい。

上部の低木帯を進んでゆくと・・・

大樺沢の雪渓が見えてきた。

二股が近づいてくると雪渓を残した沢が現れる。上部の岩壁は北岳バットレス。

スグ下に二股(大樺沢との出合)が見えてきた。実はこの先で転んで尾?骨を激しく石にぶつけ、痛さのあまりしばらく動けなくなった。

痛さを堪えながら二股到着。左手の雪渓が残る沢が大樺沢の上部である。沢を詰めると有名な八本歯のコル。北岳バットレスを見ながら登るのであれば八本歯コースがお勧めだ。

二股付近にはまだ大雪渓が残っており、ご覧のように登山者の皆さんが雪渓で涼を取っている。

では二股さん、さようなら!

広河原に向けバイケイソウ?の咲くお花畑の中を下ってゆく。

崩壊地を避けるため右岸、左岸と橋を渡りながら降りてゆく。

数々の小沢にも橋・・・。

最終的に左岸に戻り、本流の脇を並行して下るようになる。

広河原山荘(標高1510m)に到着。北岳山頂から高度1683mの大下降が終わった。

山荘で大休止。牛丼をいただきエネルギーチャージ!普通はこれで登山終了だが、今日はこれからマダマダ頑張らねばならないのである(笑)。

山荘で約22分大休止した後出発。これから北沢峠まで約10k、南アルプススーパー林道をひた走るのだ。野呂川を渡る大吊橋が再スタート地点である。

広河原の大吊橋からは北岳を望むことができる。さよなら北岳・・・。

吊り橋の下には野呂川が流れる。相当な暴れ川で、かなりの治水事業が行われたようだ。下流の奈良田あたりからその名を早川に変え、最終的には富士川に合流し駿河湾に注ぐのである。

さあっ、南アルプススーパー林道を北沢峠へ向けGO!距離は約12kくらいと思われる。バスを使えば約30分ほどの距離だ。

と、気合を入れて走りはじめたのであった、・・が。ロードはこのようになだらかではあるがほぼ登りオンリー。それもそのはず、広河原の標高が1510mに対し、北沢峠は2030m。実に高度520mも稼がなければならないのである。で、スグに「歩き」(笑)。

もうこうなったら景観でも楽しみながら歩くしかない。左手の野呂川の流れの変化でも見ながら進んでゆこう!

なかなか変化に富んだ景観が展開。南アルプススーパー林道、よくこんなところに道をつけたものだと感心してしまう。バスに乗っていては観ることのできない景観を楽しませてもらった。

約1時間かかって北沢橋に到達、通過する。ここは野呂川出合と呼ばれ、野呂川と北沢が出合う地点。北沢峠まではあと4kといったところか。

橋の上から北沢峠方面。ここから下を流れる川は北沢である。

右手の彼方上空が開けて、峰々が見えてきた。あれは〜・・・

特長のある岩で覆われた山頂部、おそらくアサヨ峰の山頂部ではないだろうか。

そして前方が大きく開け、摩利支天峰の頭と甲斐駒ケ岳の雄姿が見えてきた!北沢峠はもうすぐだ!

南アルプススーパー林道からの摩利支天峰と甲斐駒ケ岳。

いや〜、やっとテン場が見えてきた〜・・・。

広河原から苦節1時間54分かかり、やっと北沢長衛小屋に到着した。80%は歩いたかな(笑)。これでもコースタイムの55%でカバーしました。

水をがぶ飲みするなど約11分休憩後、出発。本日の最終コーナーは仙丈ケ岳への登り。標高2640mにある馬ノ背ヒュッテまで高度610mを稼ぐ急登をこなせば終了だ。登山道に突入!

黙々と登り、2合目通過・・・

3合目付近をゆく・・・

標高2500m、大滝頭の5合目に到着。ここからは右手に進む。標高的にはあと160mも稼げばいい。

5合からの道は、このように山腹を延々とトラバースしてゆく。足元を注意して進まねばならないところもある。

途中、残照に輝きだした鋸岳(第一高点:2685m)が見えた。

かなりバテテきた。行け、行け〜っ!

・・・っと、あれは! 遂に馬ノ背ヒュッテが見えた!
もうすこしだ!

小屋直下の藪沢の雪渓。

見覚えのある鹿柵。このスグ上が小屋だ。

来た〜っ!

熊の平小屋から苦節11時間45分。間ノ岳、北岳を越えて高度約1700m大下りして広河原。北沢峠まで自力で走り(歩き)、登り返して到着。いや〜、この歳でよくやったもんだ。もう疲れた〜、ぐったり(笑)。

ここも水が豊富なので、しっかり身体を拭いて着替えた後、小屋の裏手の広場に向かう。

広場からは甲斐駒の眺めが素晴らしかった!

甲斐駒を眺めながら乾杯〜!今日は冷えた生ビール、うめ〜っ!(喜)。

夕食はカレー。おかわり自由だったので3杯いただいた。腹いっぱい食って誰よりも早く床に入り午後6時30分には爆睡したのでありました。

3日目スタート

8月12日
馬ノ背ヒュッテ〜仙丈ケ岳〜北沢峠〜甲斐駒ケ岳〜竹宇駒ケ岳神社

Map3

■記録 (  )内のタイムは昭文社:山と高原地図 標準コースタイム

馬ノ背ヒュッテ
56:56(1:20:00)
仙丈ケ岳(3033m)56:56 (休憩22:08) 仙丈ケ岳1:19:04
1:18:52 (1:20:00)
五合目2:37:56
44:32 (1:20:00)
北沢長衛小屋 3:22:28 (休憩12:32) 北沢長衛小屋 3:35:00
48:30(1:15:00)
仙水峠 4:23:30
58:28(1:30:00)
駒津峰 5:21:58
1:09:22(1:30:00)
甲斐駒ケ岳(2967m)6:31:20(休憩24:38)甲斐駒ケ岳 6:55:58
1:19:27(1:30:00)
七丈小屋 8:15:25
38:58(0:40:00)
五合目 8:54:23
1:31:59(2:00:00)
横手・白洲分岐 10:26:22
45:01(1:30:00)
竹宇駒ケ岳神社 11:11:23

  昭文社:山と高原地図 標準コースタイム:13:55:00 (標準タイムの80.3%)

いよいよ最終日。今日は仙丈ケ岳と甲斐駒ケ岳をダブル登頂し白州へ下る。マズは仙丈の山頂でご来光をみようとAM3時50分、小屋を出発した。藪沢カールに建つ仙丈小屋の明かりが上方に見えだす。

仙丈小屋の前を通過、カールの中に入って右手から山頂への尾根に取り付く。

いよいよ夜が明けてきた。今日も快晴だ!甲斐駒から鋸岳への稜線のシュルエットが浮かび上がってくる。

山頂部が見えてきた。どうやらご来光の時刻までにナントカ到着できそうである。

あれが頂上だ!

もうだいぶ明るくなり、眼下にカールの底にある仙丈小屋、その先には出発した馬ノ背ヒュッテの屋根が光ってみえる。甲斐駒から鋸のラインが美しい・・。

4時47分、頂上に到達。意外に狭い山頂には早くも大勢の人がご来光を待っていた。間に合った〜(汗)。

マズは三角を踏んで、と・・・。

4時52分、早川尾根のアサヨ峰と栗沢山をつなぐ稜線の上から来た〜っ

久しぶりの3000mからのご来光・・・。

すこしアングルを変えて・・・。実に美しい。

透きとおった紺碧の空が徐々に光に満たされてゆく・・・。

素晴らしいご来光を拝めることができて、山頂の皆さんに至福と安堵のひとときが訪れる。よかったですね〜(喜)。

仙丈ケ岳(3033m)山頂。ここでやっと山頂写真をお願いして撮ってもらった。この登山で4つ目の百名山である。

大仙丈ケ岳(2975m)。仙塩尾根の起点ともいえるピークである。このピークは昨年放映されたNHKスペシャル「激走日本アルプス大縦断」で映っていて、実に形のいいピークだと思っていた。雲に浮かぶそのピークは実際見ても素晴らしい・・・。

山頂パノラマA 南東 昨日縦走した間ノ岳と北岳。北岳の左には富士も浮かんでいる。野呂川の深い谷を挟み、湧き立つ雲間から逆光の山頂部を黒くに輝かせている・・・。

雲が赤く燃える。(望遠撮影)

黎明の北岳と富士(望遠撮影)

山頂で朝飯を食いながらご来光を拝ませてもらい、約22分滞在して出発。頂上直下の道標まで下りる。大仙丈方面へ行けば長大な仙塩尾根に突入し塩見岳を目指すことになる。今日は小仙丈方面へ向かい北沢峠へ下山だ。

振り返れば仙丈山頂。南アルプスの女王といわれる山容の大きさからすると、意外に狭くて小さい山頂だ。

今日も大快晴!小仙丈まで至福の稜線ランだ!藪沢カールの底の仙丈小屋を見下ろしながらほぼ平坦なトレイルをゆく。

走りながら振り向くと、山頂部に陽光のラインが・・・。

先ほど登ってきた山頂への頂上稜線の彼方に中央アルプスの峰々。ご来光を楽しんだ登山者が下山しているのが見える。(望遠撮影)

まるで屏風のような甲斐駒から鋸の山塊に向かって至福のパノラマ稜線ラン!
本日の出発地点:馬ノ背ヒュッテが真下に見えてきた。

相変わらず北岳と間ノ岳の間には雲が湧いている・・・。

右手下の小仙丈の大カールには鹿柵が張りめぐらされている。このカールの草地にはシナノキンバイやミヤマクロユリのお花畑が広がっていたが、近年はシカの食害でほとんど消えてしまったらしい。復活を祈ろう・・・。

仙丈〜小仙丈間は一部一気の下りはあるが、ホント気持ちの良いなだらかなトレイル。快適にランできます(喜)。

小仙丈岳山頂より、小仙丈の大カールと仙丈ケ岳本峰を望む。さすが南アルプスの女王と言われるだけの優美で寛容に満ちた山容だ。

同じくこれから向かう甲斐駒方面。逆光の中、栗沢山(2714m)と駒津峰(2740m)間の最低コルである仙水峠(2264m)に陽光が差し込み幻想的な光景が展開。こらから北沢峠へ下山し、あの仙水峠に登り返し、駒津峰を経て甲斐駒に登頂するのである。

小仙丈からハイマツ帯を駆け下ると6合目。

ここで今日初めて北沢峠方面からの登山者とすれ違う。上のピークは小仙丈。

一気に駆け下り北沢峠のスーパー林道に戻ってきた。

午前7時12分、テン場前に到着。今朝、活動を開始したグループが多いのだろう、昨日の夕方よりテントの数がかなり減っていた。

北沢長衛小屋到着。仙丈山頂より一気に高度1003m駆け下ってきたのである。そうとう疲れているハズだが、緊張感からか十分に体は動いている。

長衛小屋で水をがぶ飲みし、約12分休憩してこの登山最後の登りに突入だ。あと高度937m稼げば甲斐駒ケ岳山頂、小屋の前の橋を渡り登山道にGO!このルートも人気のルートで大勢の登山客が登っている。広河原、北沢峠は北アルプス並みの集客力。

栗沢山と仙水峠の分岐。北沢の源流部の仙水峠へと向かう。

北沢源頭に向かい沢沿いに森林のマイナス・イオンを感じながら登行を続ける。

仙水小屋を通過しひと登りすると前方が大きく開ける。振り返れば小仙丈ケ岳のピークが見える。

まるでモレーン地帯のような岩塊帯が目の前に広がる。非常に歩きにくい。

しばらく岩塊帯の中を進む・・・。

摩利支天峰の岩峰が頭上に見えてくると仙水峠は近い・・・。

仙水峠(2264m)に到着。あと山頂まで高度703mだ。

登ってきた方面には仙丈ケ岳。

仙水峠の素晴らしさは摩利支天峰の展望の良さである。摩利支天のいかつい岩壁が大迫力で眼前に迫る。

摩利支天峰(2820m)とその奥に甲斐駒山頂部。白く輝く花崗岩が露出しているのが良くわかる。(望遠撮影)

さて、仙水峠から駒津峰まで登りに突入。長さはさほどではないが、斜度の急峻度はこの山域一番の厳しさ。仙水峠までは楽だが、この登りはしんどい。

ただ、最初の樹林帯を通過すると展望が開けるのがこの登りの良さ。だんだん摩利支天峰や甲斐駒の頂が近づくのを実感できる。

摩利支天の岩壁

振り返れば早川尾根末端の栗沢山とその奥にアサヨ峰のピークが見える。栗沢山が2714mなので、あの高さに到達すれば駒津峰山頂だ。

大快晴で暑い。かなりバテがきてスピードが出ず、しんどい。すごく登りが長く感じる。やっと平坦部にでて急斜面は終わったようだ。甲斐駒本峰がすいぶん近くなった。

頂上直下に入った・・・。

直下より仙丈ケ岳。北沢峠を挟んで観ると実に大きな山だ。遙か下に約1時間45分前ほどにいた北沢長衛小屋のテン場が見える・・・。

やっと、やっと、着いた〜あっ!

甲斐駒ケ岳の前衛峰:駒津峰(2740m)。いや〜、大快晴はうれしいが暑い。もうこの登りで完全にバテテ、まったくスピードは上がらず、仙水峠からの高度476mの直登に約1時間かかった。

駒津峰からの甲斐駒の眺めはまさに天空に聳えるピラミッド。花崗岩の山肌をむき出しにした白いピラミッドは圧巻である。

ここからの鋸岳の眺めも素晴らしい。第一高点(2685m)が三角錐の頂上から天に向かい突き出ているのが見事だ。

駒津峰からは、カナリ痩せた尾根を行く。露岩帯の尾根上に大きな岩の登下降がありナカナカ手ごわい。渋滞したら時間を食う。

ヤセ尾根を下り、駒津峰と甲斐駒の最低コルには名物、巨岩の六方石(ろっぽういし)がある。

六方石からはコースが二手に分かれる。ひとつはご覧の岩尾根をまっすぐ直登するコース。高度約300mを直登する豪快な岩登りだ。

今回は花崗岩の美しい砂礫のトレイルで迂回するコースを選択し、分岐を右折し南斜面のコースに入った。入口がハイマツに覆われていて見落としやすいので注意。樹林帯の中をトラバース気味に登ってゆくと六方石があんなになった・・・。

樹林の中のトラバースを終えると花崗岩の砂礫のトレイルにでる。

甲斐駒南面。トレイルはさらに大きく右に巻いて山頂へと続く・・・。

大きく右へトラバース気味に巻いてゆく・・・。

巨大な花崗岩の一枚岩を切通して作られたトレイルをゆく。もちろんひとりづつ通過です。これが甲斐駒南面の頂上ルートの素晴らしさ。

北アルプスの燕岳には及ばないが、トレイル沿いにはモニュメントのような花崗岩がいくつも点在する。

大きく右に回り込むと、いよいよジグザグの登り。

白い花崗岩の砂礫の山肌の向こうに仙丈ケ岳。遙か下に南アルプススーパー林道がちらっと見える。昨日、林道上から甲斐駒が見えだしたカーブがあれか。

頂上稜線接近!

ここを登り切れば頂上稜線だ!甲斐駒はこれで4回目の登頂だが、一度も快晴下の登頂はないので楽しみだ。

振り返れば摩利支天峰の山頂(2820m)と鳳凰三山。今、摩利支天と同じくらいの高さだから、あと高度約150m稼げば山頂のハズだ。

来た〜っ!頂上稜線!特徴ある巨岩が近づいてきた。

巨岩にはステップが掘られており、それを使って越えてゆく・・・。

遂に頂上直下!

直下に黒戸尾根と北沢峠との分岐がある。あとひと登り。

やりましたあっ!大快晴の紺碧の空の下、甲斐駒ケ岳山頂に到着!山頂に安置されている石造りの駒ケ岳神社にマズは参拝。

深田久弥は「日本アルプスの中で一番綺麗な頂上は、と訊かれても、やはり私は甲斐駒をあげよう。眺望の豊かなことは言うまでもないとして、花崗岩の白砂を敷きつめた頂上の美しさを推したいのである。」と。まさにそう思う。

甲斐駒ケ岳(2967m)山頂。今回の登山で5座目の百名山である。では、私にとっても初めての甲斐駒からの大展望をご覧ください!

頂上パノラマ@ 北面 小太郎尾根と北岳、そして間ノ岳。はるか彼方にこの登山の最初の登頂ピーク塩見岳。

北岳と間ノ岳。手前右端のピークは早川尾根末端の栗沢山。(望遠撮影)

頂上パノラマA 南西面 北沢峠を挟んで仙丈ケ岳。仙丈から伸びる仙塩尾根が間ノ岳へと伸びてゆく。

つい5時間30分前には頂上にいた仙丈ケ岳。北沢峠から立ち上がる大きな山容はまさに「雄大&優美」。手前のピークは駒津峰。(望遠撮影)

頂上パノラマA 南東面 アサヨ峰(2799m)を盟主とした早川尾根が鳳凰三山に向かって伸びてゆく・・・。

雲湧く地蔵岳のオベリスクと鳳凰三山の盟主:観音岳(望遠撮影)

西には鋸岳(第一高点:2685m)へ続く痩せ尾根。

北には八ヶ岳連峰と小淵沢の台地。手前稜線は鞍掛山からの日向八丁尾根。白く見える崩壊地は日向山(1660m)山頂。

そして北西にはこれから下る黒戸尾根と白州の台地。

山頂で約25分大休止して出発。分岐から黒戸尾根に入ると駒ケ岳神社本社がある。3日間、全日に渡って大快晴という素晴らしい天気に感謝し拝礼した。

山頂から西側は赤石沢の大岩壁。その岩壁に沿って下ってゆく。あの岩の向こうの空間は思いっきり切れ落ちているハズだ・・・。

これ以上下ると甲斐駒ケ岳の山頂部は見えなくなる。またこの黒戸尾根から何回か来ることになるだろう。
しばし、さらば!

このあたりでも花崗岩のモニュメントが楽しませてくれる・・・。

8合目上部の鉄剣の突き立った巨岩が見えてきた。左前方の山が黒戸山(2254m)。黒戸尾根は甲斐駒山頂を発し、あの黒戸山から白州に降りてゆく長大な尾根。標高差約2200m、水平距離約9k(トレイルなら13〜4kか?)の日本三大急登のひとつである。

信仰の強さを示す2本の鉄剣が立つ巨岩は黒戸尾根の名物である。

このあたりからは先ほど紹介した赤石沢奥壁の大岩壁が正面に大迫力で見える。有名な『赤蜘蛛』ルートは、アルパインルートの中でも、とても人気のあるルート。まあ、ここで転落したら一気に1000m落下といったところか。

8合のご来光場への下降が続く・・・

印象的な花崗岩に足場を掘ったクサリ場を下り・・・。

8合、ご来光場に到着。奥は赤石沢奥壁。

8合からはハイマツ帯の中を駆け下ってゆく。ハイマツ越しに、左奥に八ヶ岳連峰、白い崩壊地でスグわかる日向山、そして右手前にこれから向かう黒戸山を望む。このあとの7丈手前にて森林限界が到来し、展望は効かなくなる。

7丈の小屋のテン場に到達。もはや森の中である。

7丈の小屋が見えてきた。ここが標高2365m、スデに高度600m下ったことになる。

小屋の前には水場。ここの水も非常においしい。が、有料です。

7丈から5合目までは黒戸の中でも最も急峻で危険な箇所。多くのクサリ、ハシゴがかかり、豪快なアスレチック・コースとなっている。5段以下の短いハシゴを除き、各ハシゴを紹介しましょう!マズはクサリからハシゴ。

ここが一番垂直に近いハシゴ。ず〜と、下まで何段も続くので迫力あり!

吊り橋、ならぬハシゴ橋・・・

岩の間のハシゴ・・・

次から次へと・・・

ハシゴ・・・、

ハシゴ、ハシゴ〜っ!こちらは左サイド、スッパリ!

そして最後の大物。これを下りるとやっと5合目。

やっと、5合目に着きました。

5合目から甲斐駒をかえりみる。あの頂は8合目くらいかな・・・。

あとは比較的なだらかな下りを飛ばす。しかし、長い。標高約2000m付近にある「刃渡り」を通過。スタートから7丈の上の森林限界を越えるまで展望は効かないが、唯一ここだけ展望が効く。

やっと白州の台地、すなわち下界が近づいてきた・・・。

ひたすら駆け下り、遂に山頂から一気に高度2197mを駆け下り登山口にかかる吊り橋を渡る。

ゴ〜〜ッル!竹宇駒ケ岳神社到着!
ここに伊那谷の大鹿村から甲斐の国:白州への2泊3日の大縦走が完結した。

後半、バテテ、スピードが上がらず普通電車並みにペースになってしまったが、3日間、この歳でよくやったと思う。また、3日間ともこんなに素晴らしい天候に恵まれたのは初めてである。山の神様に感謝デス!来年もちゃんと練習して体力を維持し、このようなレベルで「快速登山」をやりたいと思います。最後までご覧くださいまして、ありがとう!

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過去の快速登山

2013年 中央アルプス
伊那谷から中央アルプスの秀峰3座を越えて木曽谷へ 中央アルプス大縦断 駒ヶ根バスセンター〜空木岳〜南駒ケ岳〜越百山〜JR中央本線:須原駅(夜行日帰で完踏)

2012年 甲斐駒ケ岳・黒戸尾根ピストン
竹宇駒ケ岳神社〜黒戸尾根〜甲斐駒ケ岳〜黒戸尾根〜竹宇駒ケ岳神社

2012年 谷川岳ピストン
西黒尾根〜谷川岳〜天神尾根〜田尻尾根

2012年 奥多摩
深山橋(奥多摩湖畔)〜ヌカザス山〜三頭山〜御前山〜 大岳山〜御岳山(日帰で奥多摩三山をゆく)

2011年 北アルプス
中房温泉〜合戦尾根〜燕山荘〜燕岳〜東沢乗越〜東沢岳〜剣吊(ケンズリ)〜餓鬼岳〜大凧山〜白沢三股

2011年 北アルプス
上高地〜岳沢経由〜前穂〜奥穂〜涸沢〜徳澤〜徳本峠〜霞沢岳〜上高地(1泊2日で穂高を満喫)

2011年 南アルプス
光岳〜聖〜赤石〜悪沢:南アルプス南部全山縦走 赤石まで2泊3日

2010年 南アルプス
悪沢岳〜赤石岳〜聖岳〜光岳:南アルプス南部全山完登(途中敗退)2泊3日

2010年 南アルプス
広河原〜北岳〜間ノ岳〜農鳥岳〜奈良田 夜行日帰り

2010年 南アルプス
夜叉神〜鳳凰三山〜アサヨ峰〜仙丈ケ岳〜北沢峠 1泊2日

★その他は快速登山トップページをご覧ください。(完登リストもあります)