2012 谷川岳ピストン 西黒尾根〜谷川岳〜天神尾根〜田尻尾根

 2012の快速登山第二弾は近くて良い山:谷川岳。あの悪名高い日本三大急登といわれる「西黒尾根」にチャレンジである。

 7月に第二弾の快速登山を予定していたが、去年と同じように行こうとしたら夏風邪を引いた。身体の節々が痛い・・・。

 それから風邪をこじらし7月の絶好期に実施をすることができなかった。そうしているうちに夏休みに突入。しかし体調は良くない。とても縦走する気にはなれず、夜行日帰りくらいしか実行できない状況。でもどこか行かねば・・・。

 よ〜し!谷川岳に行こう!まだ行ったコトないし、あの急登で有名な西黒尾根にチャレンジしよう!

 「日本三大急登」とは一般的には

1.北アルプス・ブナ立尾根(高瀬湖畔から裏銀座の烏帽子岳への稜線までの急登)
2.南アルプス・黒戸尾根(山梨側から甲斐駒山頂までダイレクトに突き上げる急登)
3.谷川岳・西黒尾根(土合口からトマの耳まで一気に突き上げる急登)

 といわれている。ブナ立尾根は下りで使ったが異常な急坂であった。黒戸尾根は大学時代に11月の雪がちらつく中、大荷物を背負って登った。長くて長くて一日で7合の小屋までが限界だった。テントの中で寒さに震えたのを思い出す。標高差2.200mの黒戸はまさに日本三大急登と確信している。近いうちに快速登山でも実施する予定。

で西黒尾根である。はたしてそれほどの急登なのか…。

 それを確かめに行くのある。ということで8月10日(金)、夏休みの初日の午前3時に所沢の自宅を出発。谷川岳の土合口にあるロープウエイの基地へと車を飛ばしたのでありました。

 計画では、ただ谷川岳に登ったのではつまらないので、谷川岳〜朝日岳〜白毛門と主稜線をグルリと馬蹄形状に縦走してしまうつもり。もちろん一日で!

 さあ〜て、ど〜なりましたでしょうか(笑)・・・。

8月10日(金)
土合口(谷川岳ベースプラザ前)〜西黒尾根〜トマの耳〜オキの耳〜天神尾根〜田尻尾根〜土合口

■記録 (  )内のタイムは昭文社:山と高原地図 標準コースタイム

   土合口(ベースプラザ前)
1:39:21  (2:40:00) ※西黒尾根経由
ラクダのコル  1:39:21
1:06:49  (1:30:00)
オキの耳(谷川岳山頂) 2:46:10   (休憩19:41)  オキの耳 3:05:51
1:56:07  (3:05:00) ※天神尾根〜田尻尾根経由
土合口(ベースプラザ前)  5:01:58

昭文社:山と高原地図 標準コースタイム:8:15:00  標準タイムの61.0%

所沢の自宅から約2時間で土合口の谷川岳ベースプラザに到着した。予定通り午前5時には出発できそうである。

今回からの新兵器、レキのストックグローブ。下降時、体重をストックのグリップにあずけて掌で受ける際にマメができていた。これでマメもできんだろう(笑)。

午前5時、谷川岳ロープウエイ脇をスタートした。

ここで一般車両はストップ。マチガ沢、一ノ倉沢等には歩いて入るしかない。

マチガ沢まで1.7k、一ノ倉沢まで3.3k・・・。

天気は晴れ、マアマアの感じだ。

登山指導センター前を通過。ここに最後の水場がある。

ゲート通過・・・。

ゲートを通過してしばらく進むと、あった!西黒尾根の登山口!

マズは広葉樹林帯の中、つづら折りの急登が続く。

なかなか骨のある急登だが、石や岩の露出も少なく段差もないので登りやすい。

樹林帯の中で日の出・・・。

明るくなってきた急坂をさらに延々と登ってゆく・・・。

するといきなり小ピーク(標高1140m)に飛び出し初めて視界が開けた。早くも高度約400mほど稼いだのである。

おおっ、あれが西黒尾根核心部か!トマの耳(1963m)までダイレクトに続く尾根が見渡せた。(望遠撮影)

左手にはロープウエイの終点、天神平が見える。

ラクダの背までさらに樹林の登りが続く。心なしか傾斜が緩くなった感があるが・・・。

天神平側へ飛び出した。

ラクダの背に向け岩場を登ってゆく・・・

いよいよ岩場、クサリ場が連続して出てくる。ここは結構な迫力。

この岩場の上は小さなテラスになっていて展望がすこぶる良い。登ってきた樹林帯の尾根を振り返る。

白毛門(1720m)が見える。有名なマチガ沢が下を流れているのもよく見えた。

そして谷川岳。オキの耳、トマの耳の双耳峰の山頂部は雲に隠れて見えないが、右端に一ノ倉岳(1974m)の頂が見えた。標高は低いが実にアルペン的な山容である。

マチガ沢の岩峰群。やはり凄い壁だ。一ノ倉沢はこのひとつ向こう側の沢である。衝立岩を始め数々の大岩壁があり、谷川岳が多くのクライマーの命を奪った「魔の山」と呼ばれているのは誰でも知るところであろう。

前方を見渡せば、スグそこにラクダの背と思われるピークがある。前進!

ラクダの背(1516m)。ここまでで高度約750mを稼いだ。本州では一般的に森林限界は2500mだが、谷川岳はその厳しい気象条件により1600mくらいになっている。ここは森林限界を超えて素晴らしい展望が広がる。

ラクダの背より谷川岳。

これから挑む西黒尾根核心部。地形も切り立った岩場の尾根道が多く、歩いていてもスリリング。
アルプス同様、アルペン的で素晴らしい山だ!
感動!

ラクダのコルを1時間39分で通過(標準時間の62%)し、いよいよ明るく気持ちの良い西黒尾根核心部の急登に突入!

白毛門に連なる谷川連峰主稜線が見える。今日は登頂後時計回りにあの白毛門まで縦走し下山する計画であった。

氷河跡といわれる地帯に入ってきた。

サンゲ岩といわれる大きな岩が見えてきた・・・。

サンゲ岩接近!あの岩で標高は1820mだ。

ザンゲ岩の脇から下方を振り返る。いや〜、かなりな急斜面、西黒尾根の豪快さは十分堪能できた。情けないがもうかなりバテた。風邪で体調を崩してからまだ本調子ではないらしい。

ザンゲ岩を通過すると、いきなり勾配はゆるくなり広大な笹原が広がってくる。急登は終了したようである。

穏やかに登ってゆくと、前方にうっすらと大きな道標が現れた。あそこが天神尾根との合流点だな。

雑誌などでよく載っている道標、なので見覚えがある。ここが天神尾根との合流点。

横を通過すると肩の小屋が見えた。

トマの耳(1963m)はスグそこだった。西黒尾根は見事なまでにトマの耳にダイレクトに突き上げる尾根だった。「日本3大急登」といわれても??? ではあるが「山頂までダイレクト」という意味では至高の急登と言える。

おお〜、素晴らしい!頂上直下からの万太郎山(1954m)方面は、笹原に囲まれた肩の小屋もアクセントとなり実に開放感あふれる展望であった。

トマの耳(1963m)。標高差1160m、平均斜度19.5度の西黒尾根の急登はここに終わった。

一応三角点を踏んで・・・

向こう側に見える最高点のあるオキの耳(1977m)へ向かう。

オキの耳接近!

オキの耳、谷川岳山頂(1977m)。祝、初登頂!残念ながら急に雲がかかって視界不良。体調がいまひとつで気力がわかず、縦走はあきらめ早々に下山することにした。

かろうじてオジカ沢の頭はみえたが一ノ倉岳方面は雲の中。

トマの耳がガスの合間から顔を出した。ちなみに日本の三大双耳峰は、鹿島槍ヶ岳(北アルプス)、天狗岳(八ヶ岳連峰)、そして谷川岳である。

マチガ沢を撮影したかったがガスの中。

粘っているとガスが切れた!おお〜っ!はるか下にマチガ沢が流れているのが見えた。深い幽谷の谷である。

山頂で約20分休憩した後、さっさと下山開始。肩の小屋前を通過する。先ほどは快晴だったのに、かなりガスって小屋の姿もよく見えない。

帰り道は同じでは面白くないので、天神尾根を下ることにした。この尾根がメインルートなので整備状態は素晴らしい・・・。

天神尾根にもサンゲ岩と命名された岩があった。

と、サンゲ岩に登ってみた時に、突然ガスが晴れてきた!広大な笹原の中を天神平へと続く天神尾根がその全容を現した。

しばらく駆け下るとガスは上がり晴れ間が出てきた。振り返ると頂上付まで笹原に覆われた谷川岳上部南面が見渡せた。東面は大岩壁なのに南面はまったく別の顔である。

左手にはラクダの背からザンゲ岩へと延びる西黒尾根を俯瞰することができた。

天神尾根も終盤、熊沢穴避難小屋を過ぎると天神平まで山裾を巻いて伸びる比較的平坦な登山道となる。木道等が整備され、素晴らしい登山道である。

午前9時をすぎたので、ロープウエイの天神平駅で降りて谷川岳へ登山する小学生、中学生の一行や一般の大勢の登山者とすれ違い、ナカナカ進まない。

巻き道の途中で、先ほど登りで使用した西黒尾根が下部からトマの耳にダイレクトに伸びてゆくのが確認できた。なかなか楽しませてくれた尾根であった。

来たぞ!土合口へダイレクトに降りてゆく田尻尾根の入り口。まっすぐ行けば天神平のロープウエイ乗り場。体調が良くないとはいえ、ロープウェイで下るわけにはイカン!

土合口まで約3.6kの田尻尾根の入り口に突入!

駆け下っていくと、視界が開けるところに飛びだした。真正面に白毛門。

おおっ!振り返れば今日初めてトマの耳、オキの耳の山頂部を含め谷川岳の全容が西黒尾根を従えて現れた。アルペン的でどっしりとした実にいい山だ。とても標高が2000m以下とは思えん・・・。

いよいよ田尻尾根も下部に入り、視界が開けたところからロープウエイの駅が見えだした。

お〜、見える、見える。もうすぐだ。(望遠撮影)

と、いきなり明るいところに飛び出した。ここが田尻尾根の入り口であった。

ナント、ロープウエイが頭上を通過してゆく。

最後はロープウエイの真下の林道を下降してゆくようである。

ロープウエイ脇の道路にでた。

谷川岳ベースプラザ前に帰着。縦走するつもりが、たった5時間の谷川岳ピストンに終わってしまった。快速登山としては企画倒れであったが、谷川岳の魅力を知ることができて大満足である。

帰りは気になっていた温泉へGO!水上の日帰り入浴施設、仏岩温泉:鈴森の湯さんへ伺った。

ここは内湯。泉温度(35℃)そのままのぬる湯と加温した浴槽の2つの内風呂があります。もちろん源泉かけ流し!

ここの露天がナカナカなんですよ!ワクワクしながら露天風呂に向かいます(笑)。

おおっ!あれだ!渓流沿いの露天風呂。まだ早い時間なので誰もおらん!

いや〜、いい湯です。源泉かけ流し、ぬる湯でゆっくりと長時間浸かれる(喜)

景観もイイ!奥には滝。

満足、満足、大満足!・・・でした(笑)

温泉から水上インターへ向かう途中、谷川岳がよく見えるところがあった。みごとな双耳峰、そしてシャープながらもどっしりとした山容。「近くて良い山、谷川岳」。本当でした。−おわり

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過去の快速登山

2012年 奥多摩
深山橋(奥多摩湖畔)〜ヌカザス山〜三頭山〜御前山〜 大岳山〜御岳山(日帰で奥多摩三山をゆく)

2011年 北アルプス
中房温泉〜合戦尾根〜燕山荘〜燕岳〜東沢乗越〜東沢岳〜剣吊(ケンズリ)〜餓鬼岳〜大凧山〜白沢三股

2011年 北アルプス
上高地〜岳沢経由〜前穂〜奥穂〜涸沢〜徳澤〜徳本峠〜霞沢岳〜上高地(1泊2日で穂高を満喫)

2011年 南アルプス
光岳〜聖〜赤石〜悪沢:南アルプス南部全山縦走 赤石まで2泊3日

2010年 南アルプス
悪沢岳〜赤石岳〜聖岳〜光岳:南アルプス南部全山完登(途中敗退)2泊3日

2010年 南アルプス
広河原〜北岳〜間ノ岳〜農鳥岳〜奈良田 夜行日帰り

2010年 南アルプス
夜叉神〜鳳凰三山〜アサヨ峰〜仙丈ケ岳〜北沢峠 1泊2日

★その他は快速登山トップページをご覧ください。(完登リストもあります)