2011 南アルプス 光岳〜聖〜赤石〜悪沢:南アルプス南部全山縦走
(赤石まで2泊3日で完踏)

2011の快速登山第一弾は 去年のリベンジ。南アルプス南部全山(光岳・聖岳・赤石岳・悪沢岳)を2泊3日で完全踏破!

 昨年のお盆に行った企画の再トライである。去年は台風接近にもかかわらず万が一を期待し入山した。が、当然の悪天候に見舞われ悔しい思いをして途中敗退した。この縦走路はナントしても快晴のもとに行い、日本一スケールの大きな山が集中するこの広大な山域を踏破し、南アルプスの魅力を、いや最高の日本アルプスを目いっぱい味わいたい。この思いが1年の間にものすごく充満していた。

 今年の梅雨明けは早く、海の日の3連休は太平洋高気圧が強力に張りだし確実に天候は良い。いや抜群なことが予想される。もういてもたってもいられなくなり、急きょ15日の金曜日を休みとし、14日(木)のPM10:30分に270k先の南アルプスの南部の入山地、畑薙第一ダムを目指し、徹夜の運転に入ったのであった。

 今年はダムの脇に車を止めてからスグに登り始めるコトのできる光(テカリ)岳からピーク・ハント開始。去年とは逆ルートで勝負する。初日は徹夜で登ることになるけどね。

 今年こそは絶対にやってやる!待ってろよ、聖・赤石・悪沢岳の頂よ!快晴の下そこに立ってやる!

 しかし、マズいことに気合とは裏腹に出発日の14日に風を引いてしまったようだ。寒気がする。のどが痛い・・・。クーラーにあたり過ぎだ。

 くそ〜っ・・・。なんということ・・・。果たしてどうなりましたことやら・・・。

7月15日
沼平〜茶臼岳登山口〜横窪沢小屋〜茶臼小屋〜茶臼岳〜希望峰〜易老岳〜光岳〜光小屋


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■記録

(1)沼平ゲート【1日目スタート】
21:21
(2)茶臼登山口 21:21
1:05:03
(3)ウソッコ沢小屋 1:26:24
1:02:43
(4)横窪沢小屋 2:29:07 (休憩13:06)横窪沢小屋 2:42:13
1:36:46
(5)茶臼小屋 4:18:59 (休憩8:16) 茶臼小屋 4:27:15
29:27
(6)茶臼岳 4:56:42 (休憩22:00) 茶臼岳 5:18:42
31:51
(7)希望峰 5:50:33 <仁田岳ピストン34:56> 希望峰 6:25:29
(休憩9:23) 希望峰 6:34:52
57:34
(8)易老岳 7:32:26
41:41
(9)三吉平 8:14:07
1:18:47
(10)光小屋 9:32:54
10:59
(11)光岳 9:43:53 (休憩3:00) 光岳 9:46:53
9:40
(12)光小屋 9:56:33 【1日目ゴール】

昭文社:山と高原地図 標準コースタイム:14:55:00  標準タイムの67%

昨夜10時30分に所沢の自宅を出発し、ここ畑薙第一ダムの沼平のゲートに到着したのが午前3時50分。約5時間半で到着。30分ほど仮眠して4時半に出発した。あたりはもう明るい。

車のうしろはダム湖である。

今回は新シューズで登る。モントレイルの派手なカラーのトレランシューズである。

ここが沼平のゲート。いよいよ光岳までのロングトレイルのスタートである。

軽くランすること約15分。畑薙大吊橋が見えてきた。あそこが今回の登山口である。

畑薙大吊橋。茶臼岳への登山口である。
全長ナント182m、高度感も素晴らしい大吊橋である。定員は15名らしい。

うひょ、ひょ〜っ!これは豪快。大いに揺れて気持ちいい!

ほほ〜っ!
カナリな高度である(汗)・・・。

橋上より下流、すなわちダム方向を望む。ダム湖の末端がすぐそこだ・・・。

大井川上流を望む。この川、大井川なんですよ。この先に椹島の登山基地、さらに二軒小屋へと林道が続いております。

吊り橋を渡り、山腹を右に大きくトラバースして登ってゆくとヤレヤレ峠である。右側は結構切れており、滑落すると危ない個所がいくつかあった。

峠をあとに平坦な道を下ってゆくと上河内沢。その沢沿いに左岸を登ってゆく。
清冽で豪快な流れで涼がとれて気持ちいい・・・。

南アルプスは吊り橋が多いのであるが、このルートも上河内沢を3回ほどこのような吊り橋を渡って進んでゆく。

右岸に出てしばらくゆくと長い鉄の梯子が出てきた。これ結構長い・・・。

グングン高度を上げて沢があんなに下になった・・・。

時刻は6時近くになり、太陽光が広葉樹林帯の中に差し込んで緑が輝く。

するとウソッコ沢小屋が現れた。ここまで約1時間26分。標準タイムが2時間半なのでマズマズの入りである。

この小屋は近くに水がガンガン出ていて自炊するには実に便利だ。

小屋を出るとスグまた吊り橋を渡る。

その直後、このようなツヅラ折の鉄梯子を登ってゆく。

後はツヅラ折の急登をひたすら登る。
標高1300mを示すプレートがあった。沼平が標高950mなのでまだ350mしか稼いでいない。

横窪峠までの中間点である中の段にでた。とにかく延々とツヅラ折の登山道をコツコツと登ってゆく。

横窪峠に到着し、上河内岳方面を望むことができた。大快晴である。早く稜線に出たい!

横窪峠から少し下ると横窪沢小屋である。
う〜む、なかなか良いところだ・・・。

ここで朝食とした。風邪気味なのでしっかり食って、しっかり水分を取っていかんとな〜・・。すでにのどが痛く、ガラガラ声になってしまっている。

しっかり給水し、水を汲んで出発。つぎに目指すは茶臼小屋である。
この上もいきなりの急登。コツコツ行くしかない。

ツヅラ折の登山道の脇には、登山の安全を祈願する小さな地蔵様があったりする。

樺段(かんばだん)まで来た。ここまでくれば茶臼小屋も近い。

左手の空いた空間から大無間山(2329m)を望むことができた。

樺段よりは勾配はやや緩やかになり、美しいシラビソとダケカンバの森の中を登ってゆく。

標高2200mを越えたぞ・・・。

と、前方左手に茶臼岳らしきピークを望むことができた。

いよいよ森林限界が近づいてきたようで木々は低くなり展望が効くようになってきた。

あれだ!茶臼岳の頂上稜線が見える!

すると目の前に茶臼小屋が現れた。

小屋の前は小川の流れるお花畑となっていて、とても気持ちの良いところだ・・・。

到着!テラスからは富士山を正面に望むことができる。
ここまで標準登山時間7時間半のところ4時間19分で来た。まあ、ナイスタイムである。

ここからは樹林帯を抜け、稜線上で直射日光を浴びるので帽子とサンシェードを装着することにした。

ここで水を目いっぱい飲み貯めし、目いっぱいボトルに汲んで出発だ。
さあっ、稜線までもう少しだ!

小屋からはダケカンバとハイマツがまばらに生えた窪地をゆく。

あそこを抜ければ稜線だ!行け〜っ!

出た〜っ!感動・・・。
右手に去年はまったく姿を見ることのできなかった聖岳がど〜んと聳えていた。

そして左手にはこれからピークハントする茶臼岳がスグそこだ。

茶臼まで稜線ランの開始である。

振り返れば上河内岳。ちょうど茶臼と上河内岳の鞍部に出てきたわけだ。茶臼岳に向かいグングン高度を上げてゆく。

茶臼岳(2604m)山頂!日本300名山のひとつである。

山頂からのパノラマ。こちらは左から兎岳(2818m)、聖岳(3013m)、その奥に赤石岳、悪沢岳。右手前のとんがったのが上河内岳。

光岳方面。(中央奥のなだらかに一番高いのが光岳)

大無間山方面。

これから向かう光岳への稜線をバックに・・・。
気合が入ります!

茶臼岳より先はこのような明るい灌木帯の快適な稜線となる。

茶臼岳を振り返る。この姿は二重稜線という特異な地形の典型例。 う〜む、確かに2つ並行して稜線があるな〜・・・。

仁田池を過ぎると湿原地帯に木道が伸びている。この道はとても気持ちいい。

木道の伸びる気持ちの良い稜線を希望峰へ向かい快適なランを行う。

5時間50分で希望峰到着。このピークはシラビソに囲まれており展望は効かない・・・。

このピークを含め、光岳の稜線は森林限界を下回り視界が効かない。希望峰から南南西に仁田(にった)岳のピークがあり、ここは360°の展望が効き素晴らしい展望があるという。ちょっと稜線をハズレ、寄り道しよう!

あっという間に樹林帯から抜け出した。あれがピークか?

いや違った。ピークを超えるとさらに向こうにピークがあった。あれが仁田岳だな。

いや〜、気持ちいい!空身なので山頂までガンガン飛ばして走れる!バックには聖岳と兎岳がど〜んと聳え、圧巻のトレイルだ!

仁田岳(2524m)に到着。
踏み越えてきた茶臼岳(2604m)が目の前に見える。そのむこうには上河内岳(2803m)。

仁田岳より聖岳(3013m)。ひときわ大きく見える。山頂付近までハイマツが伸び、グリーンベルトにまかれた山容は圧巻である。まさに南アルプス!

光岳(2591m)方面も素晴らしい展望だ。一番奥のピークが光岳、望遠撮影でたおやかな光岳のピークをご覧ください。

■画像の上にマウスポインターを載せると画像が切り替わります。

展望を楽しんだ後、希望峰に戻る途中、これから進む易老岳への樹林帯の稜線が伸びてゆくのが見えた。

希望峰からは針葉樹林帯を一気に高度で約200mほど急下降する。
急下降が終わるとこのような平坦なトレイルとなる。

その後、このような小さなUP・DOUNを繰り返しながら進んでゆく。

左手には先ほど登頂した仁田岳を望むことができた。ずいぶん降りてきたもんだ・・・。

基本的に樹林帯の中を進むが、このような展望の効くところがあり光岳方面も望むことができる。長いが快適なトレイルである。

易老岳に到着。意外にあっさり着いた。

易老岳山頂は樹林に囲まれ、しかも広い。ここは易老渡(いろうど)からの登山道との分岐がある。分岐付近は道が入り乱れているのでしっかり方向を確認して進む。

分岐からはなだらかに下ってゆく。光岳がずいぶん近づいてきた。

倒木帯だ・・・。

このあたりは立ち枯れた木々が多い草原状になっている。

光岳とイザルケ岳が綺麗に見えるところに出た。もう少しだ。

■画像の上にマウスポインターを載せると画像が切り替わります。

三平のガレというところに出た。北西斜面が大きくガレている。正面右のピークは加加森山(2412m)であろうか・・・。

で、このガレを撮影して登山道に戻り走り出そうと正面を見ると・・・。
約30m先の登山道わきの斜面の真っ黒な物体が動いた。熊だ!大きな月の輪熊がこちらを見て目があった。体が凍りつく・・・。にらみ合いが10秒以上続いただろうか、熊はまた草を食べ始めた。ジリジリと後退し、安全と思われる大木の裏に身をかくし息をひそめた。

5分くらいたっても食事を続けている。たまりかねてクマ避けの笛をピーピーならしたら、やっと斜面を上方に登りはじめ姿を消した。猛スピードでトレイルを駆け抜けたのは言うまでもない。
いや〜、ビックリした

その後、薄暗いカエデの林を抜け、涸れた沢状の登りに入る。熊が出たので切り株まで熊に見えてしまいビクビクの進行である。

この登りは結構しんどい。昨夜から一睡もしていないのでバテが出た。さらに直射日光を浴びて暑くなりフラつく。しかし、前方に登山者が出てきて一人ではなくなったので熊の恐怖はなくなった。

前方に稜線が見えてきて、明るく開けてきた。やっと抜けそうである。

静高平(しずこうだいら)に到着。いや〜、開放感!

ここは小川が流れる小さな草原になっている。

ここが水場。光小屋では水の配給は無いのでここで汲んでいかねばならない。

冷たいおいしいお水が流れ出ている。茶臼小屋からここまで水場がなく、水も尽きていたのでガブのみした。旨い、旨すぎる!渇き、風邪でイガイガになった喉には大変なうれしい水であった。生き返る・・・。

静高平から少し登ると台地に出て視界は大きく開け、遂に光小屋と光岳の山頂部が見えた!

とうとう来たんだ、憧れのセンジガ原。木道の先に光小屋

ゼンジガ原をゆく。右のピークはイザルガ岳(2540m).

光小屋到着。標高2510mにある県営の山小屋である。9時間32分にわたる行動がようやく終わる。

小屋の前を通り過ぎ、マズは光岳の登頂を果たしにゆく。道標によれば山頂へは約15分ということである。

小屋から光岳へのトレイルの入り口。針葉樹とダケカンバの林を抜けてゆく。午後2時をまわっているが雲一つない快晴である。

光(てかり)岳(2591m)登頂!初登頂である。この山はハイマツ群落の南限でも有名。この山以南にハイマツは存在しないのである。

ピークは樹林に囲まれたピークで小広場になっている。「甲斐駒ケ岳から鋭鋒を現し始める南アルプスは、3000m級の巨峰を数多く連ねて次第に伸び、光岳をもってその俊英の気を収めるわけである。」深田久弥の100名山の記述である。その理由は南アルプスは更に南に続くものの、ここ光岳をもって2500m級の山は終わるからである。

光小屋帰還。9時間56分にわたる戦いは終わった。

県営光小屋。ウッディでナカナカ素敵な山小屋だ。

2Fに寝床を割り当てられた。

10番を使用する。今日は15名くらいなのでラクラク余裕で寝られそう(笑)

窓からはセンジガ原とイザルケ岳を望むことができる。

荷物を置いた後、先ほどの静高平までサンダルで歩いてゆき水浴び。誰もいないので素っ裸で冷たい水を浴び着替えた。その後小屋に戻りご褒美のビール!

うめ〜っ・・・
小屋の前で展望を楽しみながら至福の一杯でありました。

4時50分より早くも夕飯。質素な天ぷらながらも4杯おかわり(笑)。とにかく風邪気味なので食わんと。この山小屋には特別ルールあり。食事は50歳以上で、かつ15時までに到着した客のみに提供されるのである。ユキチは50歳には見えないので説得に苦労した?

そして夕食後、光(テカリ)石を観に出かけた。再び光岳に登頂し、さらに8分程尾根を下ってゆくと・・・。
おおっ!あれか!
白い巨岩が尾根から突き出している。

光石は石灰岩で白みが強いので、日の光を受けると白く輝いて見えるのである。 光をテカリと読ませるのも、この山頂西面に露出したこの巨岩が夕日に「テカリ」と光るのが下界から認められるからだという。いまそのちょうど夕日の当たる時である。

光石のTOPまで登ってみた。

森林よりはかなりの露出度があり高度感も抜群。これなら下界から見えるだろうな。

西日が当たるとホント白く輝く。ちなみに、西日が岩の上に立つ自分の影を山の斜面に投影してくれたので撮影してみた(笑)。こんな感じで約1時間の散策を楽しみ6時半に小屋に戻り7時には爆睡したのでありました。

7月16日
光小屋〜茶臼岳〜上河内岳〜聖平小屋〜聖岳〜兎岳〜中盛丸山〜百間洞山の家


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■記録

(13)光小屋【2日目スタート】
1:10:37
(14)易老岳 1:10:37
1:07:09
(15)希望峰 2:17:46 (休憩11:42) 希望峰 2:29:28
31:32
(16)茶臼岳 3:01:00 (休憩7:24) 茶臼岳 3:08:24
1:28:52
(17)上河内岳 4:37:16 (休憩14:53) 上河内岳 4:52:09
1:24:27
(18)聖平小屋 6:16:36 (休憩24:09) 聖平小屋 6:40:45
1:02:51
(19)小聖岳 7:43:36
1:04:46
(20)聖岳 8:48:22 (休憩17:53) 聖岳 9:06:15
1:37:00
(21)兎岳 10:43:15 (休憩14:26) 兎岳 10:57:41
1:25:04
(22)中盛丸山 12:22:45
48:26
(23)百間洞山の家 13:11:11【2日目ゴール】

昭文社:山と高原地図 標準コースタイム:18:25:00  標準タイムの71%

翌朝は3時半起床。グッスリ眠れた。心配された風邪は、喉は痛いが熱は無くなんとかおさまっている。小屋の外へでると空が明るみ始めていた。

小屋の正面に黎明の富士を見ることができる。荘厳な雰囲気だ・・・。

すべての支度を終え。午前4時10分、百間洞山の家までの超ロングトレイルに出発する。小屋の主人からは30年小屋を見ているが、百間洞までいったのは過去一人くらいで達成すれば記録的だと言われた。気合が入る!

小屋の脇の高台から黎明のパノラマを撮影した。富士と雲海・・・。

そして今日踏み越えてゆく方面。茶臼、上河内、聖、兎岳すべてが見える。今日も大快晴だ。

満月に照らされた光小屋を振り返る。さようなら、良いところだった・・・。

センジガ原の木道をゆく。イザルガ岳方面から朝日が差し込んでくる・・・。

昨日水浴びした静高平。今日もここで水を満タンにした。

おおっ、伊那谷には雲海が広がっている。

中央アルプスの山並みが雲海に浮かぶ。(望遠撮影)

昨日来たシダと針葉樹林のトレイルを希望峰に向け飛ばす。熊は怖いがもう考えるのはやめた。出たら戦ってやるゼ。

左手の林の切れ間から聖岳(3013m)を望む。

振り返れば光岳とイザルガ岳。やはり大きな山だ・・・。

わずか1時間10分で希望峰まで戻ってきた。快調なスタートである。
この美しいシラビソの山頂で朝食とした。

光岳小屋で作っていただいた弁当。昨夜の夕食を4杯食ったのを見て、小屋のおばさんが大きめにしてくれた(笑)。

希望峰から茶臼岳への稜線。GO!

稜線上から聖岳。素晴らしい巨峰だ。

茶臼岳への登りに入った。

茶臼岳(2604m)山頂、2度目の登頂である。光小屋から3時間で戻ってきた。快調な入りである。

山頂より次に目指す上河内岳(2803m)を俯瞰する。円錐状の登攀意欲を沸かせる山である。
GO!

一気に鞍部まで駆け下り、いよいよ上河内岳に向けランを開始する。

左の山肌のトラバース状の気持ちの良いをトレイルに進んでゆく。前方に草原が見えてきた。

草原に出た。ここもセンジガ原と同じ、亀甲状土の草原である。さわやかな風が吹いて気持ちいい。

草原の中を登ってゆく。

上河内岳接近。左にカール地形が見え、アルプスらしい秀峰だ。そしてこの山の山頂からの展望は特に素晴らしいことでも知られている。

登行の途中より茶臼岳を振り返る。

山頂が近づいてきた。北西面に見事なカールを持っている。

トレイルより左手には聖岳がど〜んと目の前に聳えたつ。ここはまさに聖の絶好の展望台だ。

山頂への急登へ突入。

ますます聖が大きく目の前に聳えたつ。すごい迫力だ!

急斜面を登りきると頂上への分岐がある。ここでザックを置いて空身で山頂をピストンする。

上河内岳(2803m)初登頂!日本200名山である。

この山頂からの展望は本当に素晴らしい!マズは左隣に兎岳を従えた圧巻の聖岳。聖平小屋も見える。

聖岳(3013m)、赤石岳(3120m)、悪沢岳(3141m)と南アルプス南部のジャンアントが揃い踏み。

踏み越えてきた光岳(2591m)、イザルガ岳(2540m)から仁田岳(2524m)の樹林帯の稜線。そして茶臼岳(2604m)からこの山頂までのトレイルが綺麗に見える。

そして富士山(3776m)の展望も素晴らしい

南岳(2702m)へ下降してゆく。正面に赤石、悪沢を見ながらの下降。ここも実にアルプスらしい景観であった。

振り返れば雪渓の向こうに上河内岳の頂が・・・。

南斜面にはお花畑。7月なのでまだ花は少ない。

南岳への快適な稜線をゆく。

南岳山頂のハイマツ越しに見る赤石岳(3120m)。明日登頂予定である・

南岳から聖平への大下降。聖平小屋がハッキリと見えてきた。上河内岳から聖平までは実に高度540mの大下降である。

ここからの聖もいい・・・。

もう一度アップで聖。本当にスケールの大きな山で何度眺めても飽きないのである。甲斐駒を抜いてユキチの一番好きな山にランクアップとした。

左の兎岳(2818m)も聖の脇で損をしているが、ナカナカいい山である。

思ったより長い下降に苦しんだが、やっと視界が開けて聖平に到着したようである。

おおっ、これは素晴らしいところだ!
天気が良いと聖の頂も見え、こんなに開放感の溢れる場所なんだ。感動!

去年の悪天候のリベンジは果たしたゼ!

木道を聖平小屋に向かう。聖を仰ぎ見ながら快適な木道をゆく。

聖平小屋到着。いや〜、疲れた。光小屋から6時間16分で到達したが、暑くてバテだ。喉も相変わらず痛いのでコーラを飲んで元気回復を図る。水もたっぷり飲み約25分の大休止とした。

さて出発である。聖平の分岐まで戻る。ここから右に進み聖岳の山頂を目指す。ここから実に高度750mを登りきれば山頂だ。南アルプスのUP・DOUNの凄まじさを物語る代表的な登りである。

さあ、登り開始!午前11時を過ぎて暑くなってきた。一番の敵は「暑さ」である。

このあたりも大お花畑となっており鹿が高山植物を食い荒らすので防御柵が張られている。

薊畑(あざみばた)分岐点。ここは上河内岳の展望台であると同時に便(たより)ガ島への下山道との分岐点でもある。

聖山頂へは右折する。

小聖岳まではこのようなお花畑の中をジグザグに登ってゆく。ここがしんどかった。無風状態なのでとにかく暑い。一気にスピードが鈍る。そしてバテル。

ありりっ!山頂に急に雲がかかりだした・・・。

延々と続く無風のお花畑の中の急登。

トレイル脇にたまに咲いているお花がせめてもの救い。暑いよ〜・・・。

バテバテとなりコツコツと登るしかない。振り返ればカナリ登っていて、聖平小屋があんなに下になったゾ。

そんなかんなで、やっとこさ小聖岳(2662m)に到着。

いや〜、残念。山頂部が雲に覆われてしまった。ここからの聖の姿も圧巻の大きさなので、撮影を楽しみにしていたのだが・・・。

小聖岳からは本峰に取り付くまでの間、このような痩せた尾根を通過していかねばならない。

痩せ尾根に突入!

左サイドは岩峰群。そして大きくガレている。

岩陰にお花が咲いている。

ハイマツ帯に入った。天候が急速に悪化している。上河内岳も雲に覆われようとしている。

雲の切れ間から一瞬山頂部が現れた。

痩せ尾根を抜け、いよいよ頂上への広大な大斜面に出た!

ここからの大斜面は結構ガレていて、浮石が多く、足を出してもズルズルズレ落ちるので大変登りにくい。その斜面をつづら折に延々と登ってゆく。

上から見るとこんな感じ。ガスがかかり風が出て涼しくなり登りやすくなったのは助かる。このあたりでカナリなバテを感じていたから・・・。

ひたすら足元のみ見つめコツコツ登り、ふと上を見上げると・・・。おおっ!山頂が見えてきた。もうひと頑張りだ!

いきなり平らな所に出た!山頂だ!向こうに見えるピークは奥聖岳(2978m)である。

聖岳(3013m)登頂!残念ながら雲の中であるが、去年よりはだいぶマシである。

唯一、赤石岳の方面だけ見通しが効いていた。

聖岳山頂よりの赤石岳(3120m)。赤石も大きい・・・。

山頂に約18分滞在し下山する。ここから兎岳との最低コルまで高度約400mの大下降開始である。

ガンガン下ってゆく。下に丸いピークが重なって見えるが、その左サイドはスッパリ切れた崩壊地。常に右側にトレイルが付けられいる。

振り返ると聖の山頂が・・・。

さらに下ると左側に大崩壊地が見えてくる。

最低コルへの下りからの赤石岳。この方面だけ視界が効く。

見えてきた。聖と兎岳の最低コル。標高約2600mである。
バテた。ハッキリ言ってバテタ・・・。このコルで動きたくなくなり約10分間座り込んでしまった。喉も完全にやられのど飴なしではいられない状況。

兎岳へはマズは痩せた尾根をゆく。最低コルからは、たかだか高度200m程度の急坂の登り返しなのだがもう体が動かない。非常に苦しい登りとなる。ジリジリとよじ登る感じ。非常に苦しい・・・。

やっと視界が開け、山頂部を望む位置まで来た。もう少しだ・・・。

兎岳(2818m)登頂!この登りは苦しかった。
山頂で動けなくなり、約15分もボー然としていた。もう体力が尽きかけているのが自分でわかる。体調もすこぶる良くない・・・。

山頂より聖岳を望む。右下の平坦地に兎岳避難小屋が見える。

気力、体力ともに使い切った感じの中で山頂を出発する。マズは大斜面を下降し小兎岳との鞍部へ、そして右手の丸っこい山を越えてゆく。

丸っこい山を越えると目指す小兎岳(2738m)が眼前に現れた。その奥が本日最終登頂する中盛丸山である。

振り返れば根性で越えてきた兎岳(2818m)。

小兎岳(2738m)山頂。赤石岳が正面に見える・・・。

小兎岳より、山頂に雲を従えた赤石岳(3120m)。いや〜、非常に大きな山である。まさに南アルプスの盟主としての風格のある山だ。明日、登頂を果たす。

山頂からは、聖から兎岳への痩せた稜線がハッキリと見えだした。つい先ほど、あの最低コルからの登り返しでバテてナカナカ進まず苦戦したところだ。

下降を開始すると目の前に本日最後に登る中盛丸山(2807m)が見えてきた。結構な迫力の登りである。午後4時を回り、あたりは夕刻が近づいてきている。あと少し、小屋まで頑張るしかない・・・。

中盛丸山への取り付き。バテきっているので先を見ずに、足元だけ見つめコツコツと登ってゆくしかない・・・。

頂上直下のハイマツ帯に到達。もう少しで本日の登りパーツを終了だ。

登ってきたルートを振り返る。小兎岳が下になってきた。

遂に中盛丸山(2807m)山頂。これにて本日の登りは完了。あとは小屋に下るのみである。

山頂より、本日の宿泊予定地である百間洞山の家が見える。あそこまで下れば本日は終了だ。

大沢岳との鞍部へ下降を開始する。午後5時を過ぎてもうグロッキー、ヘロヘロである。

鞍部の分岐に到達。右手に進み百間洞へ向かう。

大沢岳の山裾を巻いて下降してゆく。去年も大沢岳へは登らなかったが今年もパス・・・。

振り返れば踏み越えてきた中盛丸山のピーク・・・。

ダケカンバの森を通過して緩やかに下降してゆく・・・。

お〜、・・・。遂に百間洞山の家が見えてきた。もう少しでお・わ・りだ。最後の気力を振り絞り下降する。

苦節13時間11分、もうフラフラになりながら百間洞に到達した。
聖の登りからバテて、後半苦しい展開となったがなんとか到達できた。

受付を済ませ荷を寝床に置き、食堂でマズはビール。風邪でイガイガとなった喉に強烈に効いた。さらに疲れ切った体にも強烈に効き、一気に酔っぱらう。

5時30分近い到着だったので、小屋の夕食時間はすでに終了。もう夕食は作れないと言われたが、ナントカ頼み込んでレトルトのカレーを出してもらった。ありがたや、ありがたや。メシが食えなかったら体力回復もままならん・・・。

食堂のテラスからは正面に夕日を浴びる聖岳が望めた。
メシを食い、冷たい水で体を洗い着替え、午後7時には床に入ったのでありました。あ〜、本当に疲れた・・・。

7月17日
百間洞山の家〜百間平〜赤石岳〜赤石小屋〜椹島ロッジ


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■記録

(24)百間洞山の家 【3日目スタート】
56:20
(25)百間平 56:20 (休憩3:49) 百間平 1:00:09
1:54:59
(26)赤石岳 2:55:08 (休憩29:04) 3:24:12
2:01:01
(27)赤石小屋 5:25:13 (休憩12:54) 赤石小屋 5:38:07
2:08:37
(28)椹島ロッジ 7:46:44【3日目ゴール】

昭文社:山と高原地図 標準コースタイム:11:00:00  標準タイムの70%

夜は身体がほてり、喉が渇き、関節が痛んだ。風邪が悪化したようだ。1時間おきに目が覚めてトイレに行く。浄化作用が強烈に行われている。そのつど大量に水を飲んで凌いだ。そして午前3時半起床。床を抜け出し真っ暗な外へ。なんとか発熱はせずもっている。身体もなんとか動きそうだ。

冷える、というか熱っぽいので寒いのか・・・。午前4時スギ、ロングタイツと新兵器ゴアテックス・パックライトのジャケットを着込み根性で出発だ。ここは最深部なので少なくとも赤石岳を越えねば下山できないのである。

本日も快晴。中盛丸山、大沢岳のシルエツトの上空に満月が美しく光っていた。

朝一から急登。百間洞が標高2470m。標高約2800mの百間平まで高度300mを超える急坂を直登してゆく。身体が重く当初からしんどい・・・。

稜線に復帰する。

稜線に出ると伊那谷方面に雲海・・・。

遠く穂高連峰、槍ヶ岳など、北アルプスの山並みをクリアーに望むことができた。今日も素晴らしい天気だ。(望遠撮影)

午前4時45分、兎岳に陽が当たり始めた。

前方が大きく開け、やっと百間平に登りついた。

右手には聖岳。

左前方には、荒川三山、中央に塩見岳。左奥には仙丈ケ岳も望むことができる。

苦節56分、百間平に到着。全然スピードがでない。というか登る力がない。もはや「快速登山」は実行不能状態・・・。

百間平は約標高2800mに広がる稜線上の平原である。北アルプスの雲ノ平のような感じであるが、ここの方がより隆起している感じだ。

いよいよ目指す赤石岳へ向け、百間平を後にする。

のろのろと百間平の平原をゆく。体調が良ければ快適なのに、誠に悔やまれる。

馬の背の手前からの赤石岳(3120m。近づくほどに巨大さを実感できる。.

振り返れば百間平の向こうに朝日を浴びる兎岳、中盛丸山、大沢岳。上空には月。

聖岳も朝日を全身に浴びている。

おおっ!馬の背に入ったところでご来光!

百間平に赤石岳の大きな影が投影される。

おもしろい現象を体験した。ご来光を仰いだが、前進するとまた太陽を赤石岳が隠してしまうのである。このように赤石岳に接近してゆくと完全に太陽を遮断してしまった。

馬の背を終え、いよいよ山腹を横切りながら登る大トラバースに突入する。

それにしても苦しい。もうまったくスピードが出ない。出ないどころかこのような緩い登りでも立ち止まるありさまである。遂に快速登山始まって以来、初めて後方からの登山者に抜かされた・・・。

トラバースを終えると頂上直下の台地へ出た。あの正面の直登を抜ければ山頂である。

台地の道標の向こうには聖、兎、中盛丸山と昨日踏み越えてきた稜線が見えた。

くっ、苦しい。もう一歩踏み出すのもしんどくなってきた。前をゆく老夫婦がどんどん遠ざかってゆく。

たまらず座り込む。と、目の前に百間平の素晴らしい光景が広がっていた。これは何とも言えぬ絶景。右奥の遠方に見える平坦な山は恵那山(2191m)であろうか・・・。

絶景に癒され、助けられ、遂に山頂部に到達した。

フラフラになりながら頂上直下の稜線をゆく。どうやら高山病の症状が出てきた。頭痛がし、眠気でヨロヨロとし、手がむくみ痺れている。

こんな状態になったのは初めて。頂上への最後の登りが見えてきた。あの登りですら10歩進んでは休み、10歩進んでは休みと、どうしょうもなく辛い登りとなった。

避難小屋より最後の頂上への小山を登る。去年は暴風雨の中登頂し、あの避難小屋に2時間近く滞在した。今年は快晴だ。

午前7時05分。遂に快晴の赤石岳(3120m)山頂へ立つ。

山頂より荒川前岳(3068m),荒川中岳(3083m),悪沢岳(3141m)を望む。中央手前のピークは小赤石岳(3081m)。遠く左奥に仙丈ケ岳(3033m),中央に間ノ岳(3189m)。南アルプスの3000m峰の揃い踏みである。

山頂より中央のピークが奥聖岳(3013m)。左のピークが前聖岳(2987m)。

そして富士山(3776m)。

山頂よりのパノラマもどうぞ!伊那谷を挟んで中央アルプス、北アルプス方面。

この山行で踏み越えてきた、聖〜光岳方面。

百間平方面。

南アルプス北部、および八ヶ岳方面。

頭痛が激しくなる中朝飯。食欲もない中、百間洞山の家で作ってもらったお弁当を無理やり食べる。おいしかったので食えた。あまりの体調の悪さに即刻下山せねば危ないと体が告げていた。

約30分間山頂に滞在。水をたくさん飲み、なんとか出発した。小赤石岳へ向け下降してゆく。

残念ながらここで右に折れ、赤石小屋経由で椹島に即刻下山することにした。この日はここから大聖平に下り、悪沢岳へ登り返し下山する計画だったがとても無理。またしても2泊3日での南アルプス南部全山完登の野望はついえたのである。

分岐より赤石岳を振り返る。ここから見ても巨大な独立峰としての風格を感じる。

通称大蔵尾根を下る。上部はラクダの背と言われる尾根である。赤石岳からは高度約2000m、距離約13〜14kという下り。なんとか体力が持ってくれればよいが・・・。

北沢の源頭に向けトラバース気味に下降ゆく。

この斜面は雪渓が残っており水が豊富。お花畑が広がるアルプスらしいカール地形になっている。登りはまったくダメだが下りは通常のペースで下降できている。なんとかなりそうだ。

ラクダの背と呼ばれる尾根の南側をトラバースしながら下りに下ると富士見平に到着。今回登頂を逃した荒川前岳、中岳、悪沢岳が屏風のように眼前に展開する。悔しさがこみ上げる・・。

先ほど踏み越えてきた赤石岳が大きく見える。圧巻だ!

富士見平と名がつく通り、富士の展望も素晴らしい。

その先、ダケカンバとシラビソの林の中を緩やかに下ってゆくと赤石小屋(標高2545m)に到達。早くも高度約600m下降してきた。

小屋の前からはとんがった感じで赤石岳が見える。ここで水をがぶ飲みした。

標高が下がるほどに元気回復。やはり風邪による体調不良と体力低下によりタフネスなユキチも高山病に犯されていたようである。快調に下り中間点付近のカンバ段を通過した。あと1時間も下れば椹島である。

出た〜っ!林道に降りる鉄の梯子だ。あれを下りれば登山終了である。

椹島に下山した。赤石岳山頂からの高度2000mの大下降を約3時間20分ほどでこなすことができた。

椹島レストハウスに到着〜っ!いや〜、しんどかった。「ヤッタ」という感じはなく、無事下山できて「ほっとした」というのが正直な気持であった。

バスの出発まで約1時間強時間があったので、マズはロッジで牛丼を食い体力回復に努める。その後折角なので、白旗史郎記念館を見学することにした。 ほほ〜っ、これか・・・。

拝観料200円也。

2Fがすべて展示会場になっており、日本山岳写真界の巨匠、白旗史郎の南アルプスの南部を中心とした作品が大判で展示されていた。

午後1時、レストハウス前より畑薙第一ダムゆきのマイクロバスに乗り込んだ。椹島よさようなら!

沼平の駐車場で下してもらい、車で帰途に就いた。さようなら畑薙第一ダム。さようなら南アルプス南部の山々。しばらくは来ないであろう・・・。

去年と同じく、ダムより約5kほどの白樺荘の温泉露天風呂に立ち寄り疲れを癒したのでありました。その後、約270k先の自宅まで7時間の運転をこなし帰宅。そのまま風邪が悪化し、あえなく寝込んだのでありました。
50歳過ぎたら無理はいかんですな(笑)。

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