走る 魂の社労士 ユキチの 快 速 登 山 ウルトラ・スーパークロスカントリー

2007 尾 瀬 大清水〜尾瀬沼〜燧ケ岳〜尾瀬ヶ原〜至仏山〜鳩待峠

■7月27日(金) 大清水〜三平峠〜尾瀬沼〜長英新道〜燧ケ岳〜
             見晴新道〜見晴〜尾瀬ヶ原〜山の鼻〜至仏山〜鳩待峠

 快速登山2007第1弾は「尾瀬を走る!」初めてアルプス系以外の山域にチャレンジである。尾瀬沼から尾瀬ヶ原を縦断する間に、日本百名山である燧ケ岳(2356M)、至仏山(2228M)を両方とも登ってしまおうというプラン。簡単に言えば「尾瀬を1日で終わらせる」って感じである。快速登山の基本は、「通常2泊3日のコースを夜行日帰りで走破する。」この条件を十分に満たし、かつ本格的にアルプスに入る前のウオーミング・アップとしては最適なプランである。

夜行日帰


記 録

大清水 ==>
(26:30)
26:30
一ノ瀬
==>
(51:59)
1:18:29
尾瀬沼山荘
==>
(58:20)
2:16:49
浅湖湿原
==>
(1:48:01)
4:04:50
俎ー
 
==>
(15:26)
4:20:16
柴安ー
==>
(1:46:49)
6:07:05
見晴十字路
==>
(1:20:23)
7:27:28
山の鼻
==>
(1:44:29)
9:11:57
至仏山
 
==>
(26:27)
9:38:24
小至仏山
==>
(1:07:14)
10:45:38
鳩待峠

 

 都心から尾瀬への高速直通バス「尾瀬号」に乗る。新宿新南口22:00発で尾瀬沼への登山口である大清水に3:35に着いた。実際には2:40分頃には到着し駐車場で時間調整していた。平日なので10名程度の乗車。楽チ〜ン!大清水登山口はまだ漆黒の闇の中である。
 マズは林道を登る。さすがにAM4時前は深い闇の中である。今回は娘より高性能のヘッドランプを借りた。我が娘は1級ボーイスカウトで昨年日本ジャンボリーにも参加している。最高のツールを持っているワケダ。非常に強い光を放ち、走りやすい!お〜っ、やっと空が明るくなってきた!
 明るくなった頃、一ノ瀬休憩所に到着。大清水登山口より林道を行くのだが思ったより傾斜がきつい。苦しい〜!しかし絶対に歩くことはできん!こんなところで歩こうものならこの計画は最初から達成不可能だ!根性で完走!標準タイム1:10のところ0:26:30で通過!これでこそ快速登山!
 一ノ瀬より登山道となり、三平峠(1760M)を越え尾瀬沼を目指す。このコースは約30年ぶりだが実によく登山道が整備された。このような石畳の階段、木の階段、木道と完璧である。さすが尾瀬である。登りに順応してバカになった足は快調に動きだし、まったく苦もなく登ってゆく。
 振り返ると日光方面の空が日の出で赤く染まり出していた。やはり今日は天候はよさそうである。
 三平峠を越えると一気に下り、尾瀬沼へと向かって行く。峠をスギ下りに入った。写真前方には尾瀬沼が見えるのだが朝霧で見えず。木道は御覧のとおり表面が濡れておりツルツル。この下りで思い切り滑って転倒!腰を強烈に木道に打ちつけしばし動けず。気をつけねば・・・。
 尾瀬沼湖畔、尾瀬沼山荘到着。
 大清水より7K。標高1665Mの尾瀬沼湖畔の山荘前に到着。標準タイム2:40のところ1:18で到達!快速登山としてはマズマズの入りである。 
 湖畔を時計逆周りに進み、長蔵小屋を目指す。湖畔にはこのような木道が設置されている。尾瀬沼は一部朝靄がかかっているようだ・・・。 
 おおっ!尾瀬沼の向こうに尾瀬の山の盟主「燧ケ岳(ひうちだけ)2356M」が現れた!山頂近くに朝日を浴びた赤い雲をまとっている。美しい!もちろん日本百名山である。 
 朝靄が立っている時は、このように幻想的な景観が広がる。尾瀬ならではの景色である。どこを見ても絵になってしまう・・・。
 湖畔の周回路に出て、最初の湿原より尾瀬沼越しに燧ケ岳を望む。尾瀬沼は燧ケ岳の噴火で、只見川がせき止められてできた沼。標高1665Mの高所にあり、周囲約6K、最深部9M。湖畔には大小さまざまな湿原が点在する。 
 朝の尾瀬沼を走る。天候は最高!爽やかで気持ちいい〜!も〜、最高!ほんと今日来てよかった。チラホラとニッコウキスゲの黄色い花が咲いている。
 燧ケ岳(ひうちだけ)2356M。東北・北海道地方の最高峰である。つまりこの山以北にこの標高を越える山はない。火山であり5つ外輪山を持つ。主峰であり最高点の柴安ー(しばやすぐら)と、三角点峰の俎ー(まないたぐら)が双子峰にみえる秀麗な山である。今日はまずこの山を登る。 
 長蔵小屋が近づく。湿原と尾瀬沼の彼方に朝靄をまとい顔を出す燧ケ岳。 
 長蔵小屋到着。お〜っ、全然変わってない!懐かしい〜・・・。ここで大休止、朝食を取る。おにぎり3個食い、水を補給する。 
 ここは大正年間より岳人に親しまれてきた尾瀬の老舗中の老舗の山小屋。この本館は昭和9年建てられ、こば板葺きの屋根、黒光りする木の廊下など風情抜群である。最初は山好きだった親に連れられ家族で、そして中学、高校の友達と何泊か泊まったことがある。懐かしスギル我が心の山小屋だ。 
 長蔵小屋を出発すると、尾瀬沼湖畔では最大級の大江湿原が広がる。湖畔や湿原の朝靄も上がり、燧ケ岳の山頂を覆っていた雲もとれクリアーな展望が広がりだす。
 大江湿原へ到着。黄色い花がニッコウキスゲ。いよいよニッコウキスゲの大群落の中に入ってゆく! 
 朝靄が上がる時、朝日が織り成す高層湿原特有の幻想的景色が展開する中、ニッコウキズゲの群落が見え始める。 
 大江湿原より尾瀬沼方向を望む。確かに群落はあるが花が少ない。ムムム・・・、思ったほどではない。本当はこのあたりは黄色一色にびっしりと埋め尽くされているはずだが?近くで熱心に撮影を行っていた人に聞くと、2年前が最高で3年周期で当たりハズレがあるらしい。今年はハズレか・・・。 
 湿原より長蔵小屋方面を望む。湿原の中を流れる大江川が尾瀬沼に注ぐ。ニッコウキスゲがなくとも十分に美しい。
 朝日の輝き。 やや逆光にあえて挑戦。鮮やかな、そしてみずみずしい力を秘めた朝の高層湿原が撮れた。(つもり・・・) 
 ほぼ同じポジションから尾瀬沼方面を順光で撮影。夏の生き生きとした湿原の緑が映える!あ〜っ、気持ちいい〜・・・。ほんとここは山屋にとっては天国である。平日なのでホトンド人はいない。来ているのは「通」だけである。 
 さあっ、いよいよ登山開始!燧ケ岳への登山口へ到着。今回は長英新道を利用して登る。この分岐の標高は1660M、山頂まで700メートルの登りが待ち構えている。大江湿原で30分くらい遊んでしまったので気合を入れて突入する。
 樹林の中のゆるい坂道を延々と登る。が、参った、参った。本来なら強烈に走って登れる道であるが、前日に降った雨で登山道が池の様になっていたり、猛烈にぬかるんでいたりでなかなか進めない。くそ〜!樹林を抜けても今度は写真のような急峻な沢道を進む。見えにくいが道の中をガンガン水が流れている。も〜靴がドロドロだ〜!
 やっと森林限界が近くなってきた感じだ。見上げるとスカイブルーの空の中で白樺のホワイトがシャープに映える。
 とうとう森林限界を抜け、福島側の展望は効くようになった。。しかし、高く成長した熊笹が登山道の両面にびっしりと密集して生えており、頂上方面の視界なし。
 遂に稜線に到達!ここはミノブチ岳というピークである。目の前に準主峰、俎ー(まないたぐら)2346Mが姿を現す。もうスグだ! 
 ミノブチ岳は南東にチョコンと突き出たピークで特に尾瀬沼の展望が良い。早速撮影する。尾瀬沼があんなに下に見える!しかも沼全体がすべて・・・。 
 最後の登り開始である。標準コースタイムの半分で登ってしまおうと張り切っていたが、前半の登山道の水没で随分ロスしてしまった。急がねばと強烈に気合が入る! 
 俎ー頂上接近!頂上の岩峰群が見えてきた。
 俎ー(まないたぐら)2346M登頂!素晴らしい天候だ!  
 俎ー山頂より尾瀬沼を俯瞰する。真ん中のピークが先ほどいたミノブチ岳。中央奥にくっきりと見える突き出た山は、日光白根山(2578M)である。素晴らしい展望だ!
 あちらが主峰、柴安ー。こちらより10M高い。写真撮影だけして早々に出発。主峰を目指す。 
 柴安ー(しばやすぐら)2356M登頂!ここが事実上の燧ケ岳(ひうちだけ)の頂上である。強烈に気合を入れ、俎ーからわずか10分で到着した。
 ヤッター!バンザーイ!多分、高校以来の登頂だ。背景は尾瀬ヶ原。この頂からは尾瀬ヶ原全体を見下ろせるのだ。素晴らしい眺めである。大清水より4:20:16での到着。まっこんなもんかね〜・・・。ここで大休止とする。 
 サミットより尾瀬ヶ原を俯瞰する。尾瀬ヶ原は東西6キロ、南北1Kにおよぶ本州最大の高層湿原である。 
 同じく横ワイドでどうぞ・・・。尾瀬ヶ原の奥まったところに突き出た山が見えるでしょう。あれが今回次に登頂する至仏山。ここから尾瀬ヶ原にかけくだり、縦断し取り付き登り返して登頂するわけだ。まさに快速登山のなせる業! 
 山頂より尾瀬沼、日光連山を臨む
 さあっ、下山開始!見晴新道を利用して尾瀬ヶ原まで駆け下る。この方面からはぞくぞくと登山者が登ってくる。望遠で撮影すると尾根にツギツギと現れる。なかなかの高度感だ!がんばれよ〜!もうすぐだ! 
 見晴新道を駆け下り尾瀬ヶ原への木道へでた。あと600mで到着だ。下りは前半、露岩の多い急峻な沢道をガンガンくだり、後半は樹林を中を延々と下る。登りほどぬかるんでいなくて助かった。しかし、2度目の大転倒をした。左肘は無事で事なきを得たが、ど〜も下りがヘタになっている。 
 尾瀬ヶ原の北東の端、下田代の見晴らし十字路に到着。ここには6つの山小屋があり、キャンプサイトもある。尾瀬ヶ原の眺めが抜群の開放的な場所である。
 尾瀬ヶ原を望むテラスで小休止。ここは標高1400M、尾瀬沼より200m低い。天候は最高!素晴らしい景色が展開する。ここで高原特有の冷た〜い、まろやか〜な水をガブ飲み。生きかえる思いである。 
 今回の秘密兵器は、モントレイル社のトレイル・ランニングシューズ、その名もコンチネンタル・ディバイド。初めてトレイル専門のシューズを使用したが、荒れた路面・岩場にガッチリ食い込んで安心して行動できる。特に下りは楽!でもこのとおり、初使用でドロドロになってしまった。 
 いよいよ尾瀬ヶ原縦断のスタートである。正面に見えている至仏山にむかって進む。麓まで約6K。こちら側から約2Kまでを下田代、真ん中の約2Kを中田代、その先約2Kを上田代という。 
 さあっ、尾瀬ヶ原縦断ランの開始。今登り終えた燧ケ岳をバックに走り出す。これがやりたかった!快速登山の醍醐味を満喫するのだ!高原の風が気持ちいい!最高の気分だ!
 これがニッコウキスゲ。夏の尾瀬を代表する花である。高原の爽やかな風に揺れていた。
 今回の山行の恋人はニッコウキスゲ。木道に座り、黄色い恋人たちと一緒に収まる。
 中田代に向けてひた走る。
 古くなり、痛んだ木道の付け替えを行っていた。このような地道な努力が尾瀬を支え、多くのハイカーを集める要因となっている。もちろん木道は湿原を守るのが1番の任務だ。 
 中田代に入る手前、美しいシラカバが出てくる。バックは景鶴山、日本300名山のひとつ。
 シラカバと至仏山。夏の雲が湧いている。どこを見ても絵になってしまうのが尾瀬の魅力だ・・・。  
 竜宮十字路で憩うハイカー。ここから先は中田代である。 
 ハイカーが行く。このあたりになるとだいぶハイカーが多くなってくる。 
 ボッカが行く。尾瀬では今でもボッカが活躍しているのだ。 
 上田代に向けて飛ばす!木道を走るのは実に気持ちいい。コンチネンタル・ディバイドのグリップをクッションも抜群だ! 
 このあたりからは、左右に高層湿原特有の池塘を観ることができる。
 池塘の中に浮島が見える。高層湿原:尾瀬の自然だからこそ観られる光景である。
 池塘の中にはヒツジグサが浮かぶ。この草、秋には池の中で紅葉するのだ。 
 池塘と至仏山。尾瀬の代表的な風景である。 
 上田代の牛首の手前にニッコウキスゲの群落があった。 
 至仏山接近。もうすぐ上田代に入る。
 強い夏の陽射しが降りそそぎ、池塘の色は濃いコバルトブルーから薄いスカイブルーまで、美しい青のグラデーションを見せてくれる。
 美しい池塘の周りを気持ちよく走ってゆく。本当に気持ちいい!最高の気分!最高のジョギング! 
 爽やかな風が池塘の水を揺らす。すずしげな風景である。思わずシャッターを切りたくなる風景が連続する。
 中田代三叉路、これで約3分の2経過した。この先からは上田代となる。このあたりからハイカーが多くなる。尾瀬に入るのに一番楽な鳩待峠からドンドン入山してくるからであろう。 
 上田代に入るとさらに多くの、そして大型の池塘が出てくる。あまりの開放感に思わずバンザイだ。 
 これは素晴らしい池塘。燧ケ岳をバックに最高の撮影ポイントであった。
 いよいよ至仏山の麓であり、尾瀬ヶ原の末端である山の鼻に近づく。見よ!あの登山道を。山頂へホボ一直線に伸びている。あれをこれから登ってゆくのだ。
 山の鼻に到着。鳩待峠から入ってくるハイカーでいっぱいだ。ここまでスタートより7:27:28経過。撮影等ですいぶん遊んできたので予定より随分遅れている。ここでは水の補給のみで通過することにする。
 至仏山まで2.9K。ここが標高1400mなので頂上まで標高800m登らねばならない。この山を登ってこそ快速登山である。気合を入れ直し出発する。 
 最初から急登につぐ急登。登山道は御覧のように階段状に整備されており登り易い。ガンガン登ってゆく。 
 スグに森林限界を越えて視界が開ける。上田代にたくさんの池塘が見える。直射日光を浴び暑いが、風が涼しいので頑張れる。が、ものすごい勢いで汗が吹き出る。
 山の鼻から牛首の上田代に点在する池塘群。青く輝いている。美しい!こんなにいっぱいあったんだな〜・・・。
 登りも中盤に差し掛かる。上から見てもかなりな急登。下るのも大変である。このあたりから岩が出てくる。 
 至仏山は海底隆起で生成された。これがその象徴である蛇紋岩。これは大きな一枚岩、岩の割れ目から水が滴り落ちる。中盤からこんな感じが続く。 
 さらに上部からは急な階段の連続攻撃だ。苦しい苦しい登りである。コースタイムの半分で登ろうと必死に飛ばす!気力は充実し身体も動いている。 
 サミットへと続く階段。真っ青な夏の空が頭上に展開する。サミットはもうスグだ!ダンダン傾斜がゆるくなってきたゾ。 
 頂上直下の高天ケ原。このあたりは岩礫地で,貴重な高山植物の花園がある。展望も最高だ。 
 至仏山(しぶつさん) 2228M登頂!標準登山タイム3:00のところ、気合で1:30で登り切った。ヤッター!これで1日で燧ケ岳と至仏山の両方とも登頂だ! 
 山頂からの尾瀬ヶ原と燧ケ岳。これが見納め。
 山頂より奈良俣ダムとならまた湖を望む。この水脈は利根川へと流れてゆく。蛇紋岩が張り出しているのも印象的である。 
 下山開始。小至仏山への稜線を行く。BACKの大きな山は武尊山(ほたかやま)2158M。こちらも百名山である。いよいよ今回の快速登山もゴールが近づいてきた。 
 小至仏山(2162M)到着。いや〜疲れた。ホットしたのか急に疲労を感じた。ここで小休止。甘いパンを食べ回復を図る。
 小至仏より至仏山を振り返る。あちこちに蛇紋岩が張り出しているのが見える。
 さあっ、鳩待峠までの最後の下りである。途中木道の先に見えるオヤマ沢田代を通過してゆく。小休止と食料補給で元気を取り戻し出発する。 
 オヤマ沢田代を走る。最後の力走である。残りあと約3Kで鳩待峠だ!整備された素晴らしい登山道を駆け下ってゆく。
 ゴ〜〜ル!鳩待峠到着!10時間45分38秒での到達であった。夜行日帰りで尾瀬を縦断。しかも燧ケ岳、至仏山を踏み越えてである。天候も良く大満足の快速登山であった。この後、お決まりのビール2リットル、尾瀬戸倉で温泉に入って帰ったのは言うまでもないことであった。       終わり