走る 魂の社労士 ユキチの 快 速 登 山 ウルトラ・スーパークロスカントリー

2008 北アルプスアルプス表銀座〜双六〜笠ヶ岳〜新穂高温泉

 今回のターゲットは「笠ヶ岳」

 北アルプスでは黒部五郎岳についで好きな山である。

 笠ヶ岳は「北アルプスの孤高の名峰」と呼ばれている。槍・穂高連峰の西側に位置し、双六から南に派生する尾根の末端に、どこから観ても笠の形をした特異な山容を誇っている。中央の山塊から離れており、独立峰的な非常に目立つ山なのである。

 独立峰的な山だけにターゲットにしないとナカナカ登れない、いや登ろうとする気が起きない山である。今回はあえてメイン・ターゲットとして取り上げたのである。

 直接笠に登ろうとすると、新穂高温泉から笠新道のダイレクト・ルートがあるが、これは樹林帯の急登が延々と続く北アルプス屈指の登り道。1度体験して懲りているのでココは下りに使用することに。

 さ〜て、どこから登ろうか・・・。

 おおっ!コレだ! 中房温泉から入山、表銀座を走り抜け槍へ。さらに西鎌尾根で双六に抜け笠への稜線へ入る。

 コースタイムを検討してみると、2日とも16時間以内であった。決まり〜!今回は足の状態にいまひとつ自信が持てないので、そんなに無理の無い程よいコースとなった。

■7月26日(土) 中房温泉〜燕岳(2763m)〜表銀座縦走路〜
            大天井岳(2922m)〜喜作新道〜西岳〜東鎌尾根〜槍ヶ岳(3180m)

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記 録

中房温泉
[スタート]
⇒1:17:23⇒ 合戦小屋
1:17:23
⇒32:53⇒  燕山荘
1:50:16
休憩:8:00 燕山荘
1:58:16
⇒17:43⇒ 燕岳
2:15:59
⇒18:05⇒ 燕山荘
2:34:04


休憩:14:32 燕山荘
2:48:36
⇒1:19:00⇒ 切通岩
4:07:36
⇒14:54⇒ 大天荘
4:22:30
⇒6:59⇒ 大天井岳
4:29:29
休憩:13:02 大天井岳
4:42:31
⇒26:58


大天井ヒュッテ
5:09:29
⇒1:35:36⇒ ヒュッケ西岳
6:45:05
休憩:20:52 ヒュッケ西岳
7:05:57
⇒43:35⇒ 水俣乗越
7:49:32
⇒1:11:22⇒ ヒュッテ大槍
9:00:54


46:36⇒ 槍ヶ岳山荘
9:47:30[ゴール]

昭文社:山と高原地図 標準コースタイム:15:15:00  標準タイムの64%で完走

 

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 新宿発23:00の毎日アルペン号に乗車。午前5時,中房(なかぶさ)温泉に降り立つ。常念方面の登山者がおらず、中房直行だったので1時間早く到着した。

 大学1年の時、初めて北アルプスに入山したのがこの地であった。30年ブリである。非常に懐かしい・・・。

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 ここは標高1462m。燕岳〜大天井岳〜槍ヶ岳は「北アルプス表銀座」といわれる人気コース。また北アルプスビギナーコースでもある。

 ここ中房温泉は、北アルプスの「入門口」、いや「登竜門」といった伝統の登山口である。

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 さすが表銀座・・・。AM5:00チョットすぎた時刻だが、多くの登山者、パーティの熱気で満ち溢れていた。

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 合戦尾根に突入!

 傾斜こそ急だが、ホトンド危険箇所がなく安心。上の合戦小屋まで4つの区間に分けて道標がある。ここは「第1ベンチ」。わずか16分で到達。まっ、ウオーミングUPである。

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 合戦小屋まで荷を引き上げるリフトの軌道が、登山道を横切っている。

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 樹林帯の中の急登が続く・・・。

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 第3ベンチ。ワズカ46分で到達!

 快調!快調!

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 富士見ベンチまでの急登中、安曇野方面への視界の開けるところがあった。

 低く雲が立ち込めている。青空がのぞき、心配された天候は大丈夫そうである。

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 富士見ベンチに約1時間で到達。合戦尾根の5分の4といったところである。快調なペースだ。

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 ここでザックを下ろし水を飲む。すいぶん汗が噴出しているので、水分は小まめに取ったほうが良い。

 今回2回目の使用となる「jack wolfskin 28L」 の性能もすこぶる良い!背中へのフィット感も抜群で、快適に戦いをサポートしてくれている。

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 いよいよ合戦小屋接近!

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 いきなり広場に飛び出す。立派な道標があった。合戦小屋到着だ!

 ここは標高2363mの地点。中房から早くも901mの高度を稼いだワケだ。

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 到達タイムは「1:17:23」! 標準コースタイムが3時間なので、これはナカナカの記録。いい入りだ。

 マズは満足のスタートを切った。

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 先ほどの荷物用のケーブルは小屋のスグ脇まで来ている。

 きれいにグリーンに塗られたテーブルが小屋の前に並んでいる。非常に感じの良い小屋である。

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 合戦小屋の名物がコレ。大人気の「スイカ」である。

 地元波田町の高級品種だそうで、とても甘いそうです。3時間かけてこの急登りをこなした登山者にとっては、最高の清涼剤なんでしょうネ・・・。

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 合戦小屋の上はこのようなダケカンバ(岳樺)林の中を登ってゆく。視界が開ける所が多くなり、これから縦走する表銀座縦走路の尾根が見える。

 森林限界はもうスグである。

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 ダケカンバの林の奥、山の上に「燕山荘(えんざんそう)」がチラッと見えてきた。

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 遂に森林限界を抜けた!

 お〜っ、燕山荘から燕岳(つばくろだけ)へ伸びる稜線がハッキリ見える。

【画像の上にマウスを置くと小屋が拡大します】

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 登山道は砂礫の道になってくる。

 最後の急登が続く・・・。

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 標高2600mを示す、石の道標があった。

 ここまで1140mの高度を稼いだ。そして小屋までアト110m高度を稼げば到達だ!

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 小屋接近!

 南東の斜面にはお花畑が広がっている。

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 燕山荘(えんざんそう)に到達!「1:50:16」で到達した。ナイスタイムである。

 この燕山荘は「泊まって良かった山小屋はどこですか?」で圧倒的に第1位。オーナーの赤沼さんの「アルプホルンの演奏」や、「山の話」、「ファミリー登山」など各種イベントが充実。さらに御来光から日の入りまで堪能できる素晴らしい山小屋なのである。

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 小屋から燕岳(つばくろだけ)は目と鼻の先である。残念ながら山頂部に雲がかかっている。

 30年前に来たときは、完全にガスっていて何も見えなかったので、初めて肉眼で燕を見たコトになる。

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 山荘前で8分休憩し、燕岳へGO!

 この山は通称「北アルプスの女王」と呼ばれている。日本200名山のひとつで、山と渓谷の「登ってみたい山」の投票では、百名山以外の山では最も上位である11位に輝いた人気の山である。

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 このように山頂付近には風化でできた花崗岩の岩塔が林立している。そして光が当たるとシャープな白色に輝く。濃緑のハイマツとの、「ホワイト」と「グリーン」のコントラストが素晴らしく、独特のビューティフルな景観を作り出している。

 花崗岩の砂礫の登山道を、空身になってJOGしてゆく・・・。気持ちい〜!

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 あっという間に山頂接近!

 山荘から山頂まではコースタイムで30分。ホボ平坦な砂礫の尾根を行けばよい。非常に気持ちよくJOGできるところである。

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 おおっ、山頂を覆っていたガスが取れてきたゾ!

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 頂上直下の風化した花崗岩の岩場を登る。

 この雰囲気は、ここ燕岳でしか味わうことはできマイ・・・。

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 燕岳(2762m)山頂

 まるでモニュメントのようなサミットである。

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 北アルプスの女王の頂に立つ。

 こんな幻想的な山頂は初めてである。女王というよりは「魔女様」といったほうがピッタリかも・・・。

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 山頂から北燕岳を望む。一瞬ガスが切れ、光が差し込んだ・・・。花崗岩がシャープな「ホワイト」に輝く。

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 中房方面を望むと、逆光の中に有明山(通称:信濃富士)2248mが鎮座している。

  この山も200名山のひとつ。
いい山だ。いつか登ってみたい。

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 山頂を後にし、山荘に戻る。

 これから縦走してゆく「アルプス表銀座」のロングトレイルが一望できる。残念ながらかなり雲で覆われている。何とか晴れあがってほしいものだ・・・。

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 燕山荘が近づいてきた。往復約35分のショート・トリップが終了する。

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 山荘に戻り、小屋の前の展望の良いテーブルをキープして朝食とした。

 午前8時をちょうど回ったところである。

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 ここでもうひとつの「女王」をご紹介しましょう! 高山植物の女王「コマクサ」です。高山植物の中でも特に「気品」があり、高山のザレた稜線のみに咲く花です。

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 周辺の斜面には、たくさんの「コマクサ」の大群落があります。ここには2人の女王様がいらっしゃったのですね〜・・・。

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 約15分で朝食を完了し、いよいよ表銀座縦走路に突入!

 マズは大天井岳方面に向け進み、蛙岩(げえろいわ)を目指す。

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 軽快にステップを切り、駆け下ってゆく。

 この尾根は「快速登山」にとっては最高の環境。あまり激しいUP・DOUNがないので、JOG程度に気持ちよく走ることができる。

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 行け行け〜!

 あっという間に、燕岳は後方に遠ざかってゆく・・・。

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 岩の間を通ると、正面に「蛙岩(げえろいわ)」が見えてきた。
ナゼこのように読むのかはワカラン・・・。

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 蛙岩を越え、大天井岳へ続く稜線を進む。

 天上沢の谷から吹き上げる風が結構きつい・・・。まだゴアのジャケットを脱ぐことはできない。

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 大下りの頭に到達!晴れていれば槍が正面に豪快に見えるところなのだが・・・。

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 コレが大下り。1度大きく下り、大天井岳へと続く主稜線へと登り返す。

 この稜線では1番のUP・DOUNである。

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 登り返し、さらに稜線を進むと、登山道がロープで仕切られているところに出た。ナゼだ?

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 ホホ〜ッ・・・。ここの斜面にも「コマクサ」の大群落が広がっているのだ・・・。

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 いよいよ大天井岳が近づいてきた。

 残念ながら山頂部に雲をかぶっている。

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 懐に接近すればするほど、そのどっしりした山容が際立つ。

 このころから登山者が多くなってきた。というより、先行していた登山者に「追いついてきた」ということであろう。

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 切通岩に到達!

 ここには大天井岳から槍ヶ岳まで自費で登山道(通称:喜作新道)を切り開いた小林喜作のレリーフがある。(右下の岩の中にチラッと見えまマス)

 ここらは大渋滞だ。

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 中高年のパーティーがゆ〜っくり登ってゆく。

 「すいませ〜ん!」隊列を追い抜くまで20回くらい声をかけながら進んでゆく。

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 大天井岳の登りより、踏み越えてきた表銀座の稜線を望む。

 燕岳は遥か彼方に・・・。

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 大きく左に回りこみながら、大天井岳山頂を目指す。

 トキドキ光が差し込み、クリアーな景観が広がってきた。湯俣谷に陽が当たっている・・・。いいぞ〜!

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 大天荘に到達!ここは休まずサミットを目指す。

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 頂上直下を行く。岩だらけのルートである。

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 大天井岳(おてんしょうだけ):2922m 山頂!

 中房温泉より4:29:29、4時間半を切るタイムで到達した。ナイスタイム!

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 この山も日本200名山のひとつ。

 常念岳方面は視界が開けている。大天荘もスグそこに見える。

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 走り抜けてきた表銀座縦走路を俯瞰する。

 人間の足はたいしたものだ・・・。

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 これから進む喜作新道の稜線が見えた。

 ここから駆け下り、あの尾根に取り付くのである。この方角には、どでかく槍ヶ岳の雄姿が見えるハズなのだが、残念ながら展望は効かない・・・。

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 さっ、下山である。

 大天荘には立ち寄らず通過する。大天井岳よさようなら・・・。

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 大天荘から大天井ヒュッテへ、大天井岳の南面の大トラバースが始まった。

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 ナカナカ豪快なトラバースである。大天井岳と牛首山の鞍部にある大天井ヒュッテまで徐々に下降しながらトラバースしてゆく・・・。

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 牛首山の鞍部にあるヒュッテが見えてきた。

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 ヒュッテから先はいよいよ喜作新道へ突入である。
牛首山の山腹を巻いて、ダケカンバの林の中を赤岩岳へと進む。

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 山腹を巻ききり、稜線に復帰するとそこがビックリ平。
槍ヶ岳が大きく望めるところだが、穂先は雲に覆われている。北鎌尾根が直近に迫る。

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 振りかえれば、抜けてきた山腹の林の向こうに大天井岳・・・。

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 喜作新道の稜線の上に青空が広がってきた。天候は明らかに好転している。

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 この稜線も快速登山の独壇場。稜線の道は赤岩岳に向かいなだらかに続き、気持ちよくランすることが出きる。

 も〜最高!

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 赤岩岳が近づいてくる。前方にも青空が広がりだす。

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 赤岩岳に向け走る。
後方の、大天井岳のどっしりとした山容が印象的な稜線である。素晴らしい!

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 赤岩岳直下より、北鎌尾根とこれから登る東鎌尾根を俯瞰する。

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 振り返れば大天井岳の雄姿・・・。

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 西岳には登らず、左の山腹を巻いて西岳ヒュッテを目指す。 奥上高地の横尾周辺の梓川の河原が遠くに光って見える。

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 東斜面にはお花畑が広がっている。

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 お花畑の先の天を仰げば、常念岳のピラミダルな山容が・・・。

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 ヒュッテ西岳が見えてきた。正面には涸沢カールが見える。

【画像の上にマウスを置くと拡大します】

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 ヒュッテ西岳到達。

 前回からアンダーアーマーのTシャツを使用しているが、「ヒートギヤー」といって保温力は抜群ながら、汗をすばやく拡散させつつ体温上昇を押さえくれる。
そして汗臭さが臭わない。素晴らしいTシャツである。さすがだ・・・。

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 小屋周辺は登山客で混んでいたのでテントサイトまでゆき、ここでひとり、昼食を取ることにした。すでに12時を回っている。もう7時間ちかく戦い続けている。

 このテントサイトは抜群のロケーション。オススメですね〜!

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 テントサイトからの北鎌尾根。

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 同じくテントサイトより、正面にこれから踏破する東鎌尾根を望む。

 槍沢の雪渓はやはり通年の倍はある感じだ。

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 昼食後、小屋の横をすり抜けて、いよいよ本日のハイライト、東鎌尾根へと向かう。

 最低鞍部の水俣乗越までの厳しい下りが待ち構えている。

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 始まった〜! このような難所を下降してゆく。ヒュッテから水俣乗越までは220mも一気に下る。

ここでやってしまった。疲れたのか、あの人の写っている手前で石につまずき左の草の中に落ちた。右にチャント鎖があるのだが、なめて、持たずにちょんちょんと進んだ矢先のコトだった。

草の下は絶壁。一瞬死んだかと思った。

 「うお〜〜っ・・・」必死で草の幹にしがみつき滑落を止める。
腰をしたたかに打ったが止まった!

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 しばし呆然・・・。草むらの2m下はポッカリ切れ落ちて空間が空いている。必死で体勢を立て直し、草の幹を再度握り締めジリジリ這い上がる。助かった。

 スグ脇にハシゴがあるが、止まらなかったらこの高さを落ちていた。
マズ、死んでいたのではないだろうか・・・。もう、イキナリ弱気になり初心者のように慎重にハシゴを降りた。

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 下から振り返る。止まらなかったらあの画面左上の岩が露出している所をまっさかさまであった。危ね〜っ・・・。こんなところで死んだらシャレにならん。

 腰を強打し、右手全体に数箇所にわたり擦り傷、切り傷を負った。血が噴出したり、滲んだりしている。安全なところまで下り水で傷口を洗った。
いい教訓にしよう。なめたらアカン・・・

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 やっと心が落ちついてきた。ふと前方を見上げると、遂に槍の穂先が現れようとしていた。

 気を取り直し、再スタートを切った。腰は大丈夫そうである。傷も幸いたいしたことはない。イクゾ!

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 しかし、乗越までは難所が続く・・・。慎重にナリ、グ〜っとスピードはダウンした。

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 ハシゴを乗り越えた先の小ピークで遂に槍の穂先が現れた!

 やった!こう来なくては!ピンチのアトに「・・・」ありってヤツだ。

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 スリリングな登山道が続く。

 アルプスらしい緊張感溢れる素晴らしい道が伸びてゆく。

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 見下ろすと、遂に水俣乗越を発見!

 あの下の最低鞍部がその地点である。ココに来てまた登山者が、多数連なりだしてきた。

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 その先を見上げると、槍の頂上へと続く東鎌尾根の全景が見渡せる。

 水俣乗越より槍ヶ岳山頂まで、高度720mを一気に突き上げる尾根である。

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 水俣乗越到着。北鎌尾根に取り付くには、ここから天上沢に降りてゆくのが一般的である。まっ、クライマーしか入れんけどね・・・。

 エライ目にあったが、無事でなによりだった。

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 ココからは本格的な急登が始まる。

 ハシゴやクサリが付いた難所が連続するスリリングな、そしてアルペンムード満点の尾根が続く。

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 眼下には槍沢が展開する。いつもはここを登ってくるが、今日はこのU字谷を上から眺めながら登る。これも東鎌尾根の魅力かもしれない・・・。

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 来た〜!ハシゴの連続攻撃!槍は完全にその姿を現した。

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 そしてさらに進むと最大の難所、通称「窓のハシゴ」に到達。ここは20mほどの垂直の岩場にハシゴがかかっている。

 ちょうど中学生のパーティー40名程が取り付いており、大渋滞中。上部を降りる女子中学生。慎重に行ってくれよ〜・・・。見ているほうが怖い。先生たちは本当に緊張しているコトであろう。

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 これが「窓のハシゴ」全容。

  聞けばこの中学生たち、燕山荘から縦走しているという。いや〜、すばらしい体力。たいしたもんだ!生徒もスゴイが先生も立派だ。

 自分はトテモ怖くて、身内など、こんな危険なところには絶対連れて来れない。これが身体を張った教育というものであろう。先生に「脱帽」。

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 さらに難所は続く。ここも結構迫力あるハシゴ。下がスッパリ落ちていて抜群の高度感が味わえた。

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 ハシゴを登り終えたところから、東鎌尾根を振り返る。西岳がもうあんなに遠くになった。

 中学生たちは、全員「窓のハシゴ」を無事通過したようだ。手前の尾根を隊列を組んで登ってくる・・・。

 【画像の上にマウスを置くと隊列が拡大します】

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 いよいよ東鎌尾根上部に突入である。
槍の穂先がドンドン大きくなってくる。迫力満点である。

 とその時、ヘリの音が・・・。

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 北鎌尾根の上空で県警のヘリがホバリングしている。ちょうど独標:2899mのあたりだ。

 遭難だ!ロープが下ろされ遭難者が引き上げられてゆく。

【画像の上にマウスを置くとヘリが拡大します】

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 ヘリの救助の様子を見ながら東鎌尾根上部を飛ばす。あのピークを越えれば、もうすぐヒュッテ大槍だ!

 4人くらい救助されていた。やはりロッククライミングはひとつ間違うと危ない・・・。

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 おおっ、ヒュッテまであと3分。もう目と鼻の先、着いたも同然である。

 やっと槍の肩に到達した。カナリ疲労感がある。こや〜、バテたな・・・。

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 ヒュッテ大槍に到着。槍の穂先がまるでモニュメントのように見える山小屋である。

 小屋のお兄さんに撮ってもらったが、中房から来たと言ったら驚愕された。もうチョットペースが上がり、疲労感がなければ、双六まで行ってしまおうかと秘かに考えていたが、とても無理。情けないがもうバテた。

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 気合を入れなおし、水をガブ飲みし、槍ヶ岳山荘へ向かう。

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 槍の穂先に向け、一歩一歩前進する。

 も〜グロッキーである。まったくスピードが出せない。一般登山者と変わらないスピードにダウン。

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 槍の穂先のトラバースに入る。最終段階に突入だ。しかし、身体が動かない。

 そうだっ!腹が減っているんだ!
もうすぐゴールなのだが、ココでパンをひとつ食べる。とたんに元気に・・・。

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 おおっ、遂に見えてきた!本日のゴール地点、槍ヶ岳山荘が・・・。

 ヒュッテからの最後の区間は、本当にバテテ、標準タイムと変わらない時間を要してしまった。

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 ゴ〜〜ル!

 苦節9:47:30。かろうじて10時間を切っての到達、時刻は午後3時17分であった。

 ココは標高3020m。中房から高度約1560mを稼ぎながら表銀座を完走したワケである。

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 槍ヶ岳山荘にチェックインして汗だくのウェアを脱ぎ、新しいのに着替える。

 さっ、槍の穂先へ登るゾ!
天候が悪くガスがかかっていたら登らないつもりだったが、ナント快晴になってきている。ラッキー!気分爽快である。思わずガッツポーズがでる。

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 まさに天を突く孤峰・・・。
そして高度160m上に至福の頂上がある。

【画像の上にマウスを置くと山頂部が拡大します】

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 さあっ!取り付いた!
登りと下りのルートは別々だ。

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 中間付近・・・。天空は紺碧に輝いている。
慎重に、慎重に・・・。

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 頂上に通じる最後の関門。長〜い垂直のハシゴ。あの上に頂上がある。

 昔はハシゴなどついていなかったが素晴らしい整備である。非常に登りやすい。ただ、高度感、スリルは満点。高度恐怖症はマズ無理だろう。

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 上から見るとこんな感じ・・・。

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 出た〜! 山頂である。後方に穂高連峰もカスカに見える。

 すぐそこにハシゴの先が見えるでしょう!あそこから1人ずつ頂上に現れるのだ。

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 山頂より槍ヶ岳山荘と大喰岳(おおばみだけ):3101mを望む。

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 山頂より天上沢方面を俯瞰する。

 踏み越えてきた、大天井岳より伸びる喜作新道、滑落して危なかった西岳から水俣乗越への下降路がクリアーに見える。

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 おおっ!北鎌尾根からクライマー達が上がってきた。

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 頂上(3180m)に祭られた祠の前で、クライマーの皆さんと記念撮影。

 命のリスクを負って長時間戦い抜いた者だけが持てる至福の満足感。皆さんとても優しい晴れ晴れとした笑顔をされていた。

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 クライマーの皆さんの後について下る。

 さすが!基本に忠実に、しかしスイスイと降りてゆく。
これにて穂先の登攀は無事終了である。

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 降りた後はお待ちかね。やっぱりコレ!ご褒美のビール。

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 槍ヶ岳を肴に、最高においしいビールをいただきました。

 おいし〜っ!

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 今日踏み越えてきたヒュッテ大槍、その先に西岳。そして奥には常念岳が聳える。

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 槍に夕陽が当たってきた。

 あの中学生のパーティーが山頂を目指し最後の登りに入っているのが見える。ガンバレ!もう少しだ!

【写真の上にマウスを置くと山頂部が拡大します】

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 夕陽が大喰岳、キャンプサイトを優しく照らす。

 実にアルプスらしい光景である。

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 小屋の裏手に廻り、明日向かう西鎌尾根を覗いてみた。

 尾根上を滝雲が流れていた・・・。

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 5時40分より食事である。650人を収容できる山小屋ならではの食堂の広さである。

 何回かに振り分けて食事を出す。今回は2回目の組であった。

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 内容はこんな感じ。山の上ではスベテが有り難い。
御飯大盛3杯、味噌汁3杯いただいた。 感謝・・・。

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 山小屋とはこういう感じ。床はよく磨いてあり黒光りしている。

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 そして雑魚寝である。今回は2階席を指定された。混むと1畳ひとりキープできないことがあるが、本日は大丈夫。ゆったりスペースをいただいた。

 19:00床に就くと、あっという間に「爆睡」した・・・。

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