スペシャル掲載
八ヶ岳本峰スーパークロスカントリー完走記
某ホームページにて連載いただき、好評でしたので自分のページにも掲載いたします。自分で言うのも何だけど、結構面白いですよ!
小淵沢駅〜観音平〜編笠山(2524M)〜権現岳(2715M)〜赤岳(最高峰2899M)〜横岳(2825M)〜硫黄岳(2760M)〜夏沢峠〜本沢温泉〜海尻駅 標高差最大2000M 距離約30〜40K
■通常、2泊3日から3泊4日のコースを日帰りでやろうというまさに狂気の「快速登山」を遂に実行しました。
学生の頃よく乗った新宿発23:54発の夜行列車で小淵沢へ。昔と違い「ムーンライト信州81号」というかっこいい名前になっており、しかも単なる快速なのに全席指定。残り1席というところでギリギリ指定を取ることができた。あぶね〜あぶね〜・・・ 強烈に気合を入れて出てきたので乗れなかったらガックリ。さすがにこの時期は満員御礼!!
ほとんど眠れぬうちに3:09小淵沢着。 仮眠場所を物色すると、構内のログハウスの待合所を発見!40分ほど大の字で寝る。さすが標高900mあって涼しくて気持ちいい。こんな田舎なのに先客が1名。酔っ払いのおっさんが力尽きて寝ておりました。
4:15出発。握飯3個食べ気合入れて走り出す。最終到達地からのバスの最終が14:50。ギリギリの持ち時間しかないのでさらに気合が入る。まだ暗いので森の中を走るのはやや気味悪いが、いきなり傾斜のきつい登りとなるので必死となる。富士登山競争の馬返しまでのコースと似ている。足が上りに慣れるまでは苦しい。まずは標高900mの小淵沢駅から2524mの編笠山までの約1600mの高度差を直線的に一気に駆け登るのだ。
明るくなった頃、観音平という標高1500mの台地に到着。天気はまずまず。登山の標準タイム2:40のところ1:09:41で通過。ここが本来の登山口。登山者はここまで駅からタクシー、マイカーに乗ってきて歩き始める。出発前、駅であったタクシー待ちの登山者人たちから歓声が上がる。「あの人駅から走った人だ!」「ひえ〜もうきたの〜」 何しろTシャツにジョギングパンツ。登山には場違いの格好なので目立つんですわ。 うひひ・・・ なんか快感なのである。歓声を背にしながらそのまま登山道に走りこむ。
続く
観音平は熊笹に覆われた台地で、ヒカリゴケが群生しているという。登山道入り口より600Mで緩斜面は終わり。ここからは本格的なのぼりとなる。したがってランはこれまで。ここからはひたすら早歩きの行軍となる。ゼイゼイいいながらひたすら急坂を登る。下部は木の根っこで形成された登山道。上部は石だらけの枯れた沢づたいに体全体を使い大きな石を大股でよじ登ってゆく。本日一番の登りなので当然だが、それにしてもしつこいのぼりである。くっくるしい〜!そもそも北アルプスと違い、南アルプス、八ヶ岳は森林限界が高い。北アルプスのそれが2000〜2100Mに対し2300〜2400Mくらいだろうか。編笠山の頂上直下に迫ってもまだハイマツが視界を邪魔する。うんざりするほど急登を継続させられ遂に石だらけの編笠山山頂2524Mに到達。コースタイム5:50のところ2:43:33でクリアー。観音平から約1:30強で高度1000Mを稼いだことになる。
順調な滑り出しである。フルマラソンであれば時間的にはゴールだがこれからが本番。本来ならば南西に南アルプス連峰がどでかく望めるところだがそちらは雲で覆われ視界なし。残念!反対側の次に目指す権現岳2715Mは頂上の岩峰まではっきり見え気合が入る。残念だが標高で約200M下り、再び400Mの急登だ。編笠山北面のモレーン地帯の巨大な石、岩の上を飛び移りながら下降してゆく。
続く
編笠山は八ヶ岳連峰の南端。名が示すとおり、編笠を伏せたような形が特徴的で、長く引いた裾がとても美しい。小淵沢から眺めるととても印象に残る山、そして遙か彼方に見える山である。その北隣に険しい岩峰を突き上げているのが権現岳である。下降を続けると鞍部の青年小屋につく。学生の頃一度幕営したことがあるが、編笠山のたおやかな丸いラインと、ハイマツの深緑とモレーンのシャープな白のアルペン的なコントラスト。そして澄んだスカイブルーの空。北側の険悪な山塊と激しく非対称なせいもあり、何時訪れても牧歌的なの〜んびりした雰囲気があるお気に入りの場所である。そしてさらに素晴らしい「お宝」もある。小屋の裏手5分のところに素敵な水場「乙女の水」がある。昔と変わらず清冽な水が流れ出ていた。たっぷり堪能し、感動した・・・。懐かしい美少女に再会したような気分である。ジジイになったらここで2泊ぐらいゆ〜くりして、乙女の水で「マッカラン」を水割りにし、一人人生を回想したいものである。
おっと進行が止まってしまったが、今回は「魂の水」を頂戴してすぐに出発。権現岳への岩稜をひたすら登攀する。左サイドはスッパリ切れ落ち、それを避けるように右サイドに作られたルートを進む。すでに森林限界を超え気持ちいい。おいしい水で生き返った肉体は甦り快調である。コースタイム1:30を44:25でクリアー。残念ながらガスって視界10M。晴れていれば360度の凄い眺めが展開する。東には雲海の上に富士山が薄青く浮かび、南アルプス、中央アルプス、木曽御嶽、コンディションがよければ乗鞍から穂高、槍、さらに北には後立山連方だ。そして真北には主峰赤岳が圧倒的な迫力で迫る。頂上の岩峰で写真を撮りすぐに出発。いよいよ今回の核心ルートに突入する。視界があれば、主峰赤岳が「登ってこいよ」としきりに挑発するこのルートは「岳人」にとって至高のルートであり、いったんキレットに下り赤岳に登り返してゆくこのルートは、八ヶ岳随一のアルペンルートといえる。
続く
キレットとは、両サイドがすっぱり切れ落ちた鞍部のことである。わかりやすく言えば、高さ300〜500Mの三角木馬の上を這いずって進んでゆくイメージだ。滑落すればOUT!何百メートルも滑落しながら体が岩にあたり引き裂かれ無残な死を遂げることになる。幸い八ヶ岳のキレットはあまりたいしたことはない。日本で代表的なキレットといえばやはり北穂高岳〜南岳間の大キレットであろう。
ガスでほとんど視界のない中、キレット小屋までのやせ尾根を登り下りしながら標高で300m程下降してゆく。途中恐ろしく長いハシゴがあった。30Mはあろうか。ビルの8Fくらいから降りてゆく感じだ。昔はこんなの無かったよな〜?ちょっとやりすぎのハシゴだ。ひつこいUP・DOWNを繰り返しながら「まだ着かね〜〜のかよ〜・・・」とイライラしだした矢先にグ〜ンと激しく下降しキレット小屋に着く。コースタイム1:10を47:05で通過。やはりやせ尾根で距離があり、岩やガレ場中心の稜線はかなり時間を食う。
小屋を通過しいよいよ本日最後の難関、赤岳南西面の切り立った岩稜、ガレ場やルンゼの登攀である。一気に500M高度を稼がねばならない。気合を入れて取り付くも高高度のせいもあり「ハアハア、ゼイゼイ」と、ど〜しても息が上がる。くっくっくるし〜・・・。もがきながらもスピードを上げ下部の第一ステージのガレ場、岩稜を乗り越え最初の岩棚にたどり着く。その時突如ガスが晴れ、険悪な赤岳の南西面上部が頭の上から覆うかぶさるように出現した。
続く
なにしろ八ヶ岳には15年ぶりの入山である。小淵沢、蓼科、白樺湖を中心とする高原地帯はお気に入りのリゾートで夏は毎年家族旅行を実施。温泉、グルメ、牧場等観光スポットは知り尽くしている。八ヶ岳100キロウルトラマラソンも2度出場した。そのつど下界からはいつも赤岳の雄姿を見上げてきたが久しぶりの間近での再会である。しかも強烈な再会であった。
ここからの第2ステージは巨大で長いガレ場の直登である。角度35°〜60°の長さ約350M、標高差約250M程の赤褐色のガレ場を岩のクラック等を利用してよじ登ってゆく。文字通りガレ場なので浮石が多い。落石は絶対に起こせないので浮き石に乗らぬよう細心の注意を払い高度を上げてゆく。それにしてもこの大きな赤岳南西面のルートには自分だけしかいない。ガスがかなりのスピードで上昇してゆく。視界がどんどん開け最高の気分だ。息が上がり汗も噴出し苦しいが、このルートを独占できる満足感と岩に吹き付ける心地よい冷たい風で心は充実感でイッパイだ。そういえば権現岳からここまで会った登山者はツーパーティー6人だけであった。
遂に登り切り赤岳頂上への肩に出る。ガスも上がり雲の切れ間より青空も見え、はっきりと頂上付近も見える。いよいよ最終ステージ。下界の視界も開けこの山が持つ豪快な高度感を味わいながら最後のひとのぼりである。一気に頂上に到達した。少々苦戦したがキレット小屋から標準タイム2:00のところ1:15:58でのクリアーである。
続く
2899Mの頂上は、標高はほぼ同じと思われる2つの頂に分かれており、一方が三角点のある本物の頂上、そしてもう一方には頂上小屋がある。小淵沢駅から赤岳山頂まで標準タイム10:50のところ5:58:54と6時間を切るタイムで到達。現代天狗伝説というにはやや迫力不足のタイムか??? 目標の5:30には及ばなかったがまずまずである。これで本日の予定の6割を消化したことになる。やれやれ・・・。
さすが人気の「赤岳」。山頂はAM10時スギということで念願の登頂を果たした笑顔の登山者で満員御礼である。残念ながらまたガスにおおわれ視界があまり効かないのだが・・・。我がルートはアプローチが長大でUP・DOWNもきつく下降に利用するケースはあるが登ってくるものはほとんどいない。皆、美濃戸口〜行者小屋経由のポピュラーなルートからわんさかと登ってくるのである。そんな中にいきなりランナーが出現すると決まった質問が飛ぶ。「うあ〜!走ってきたんですか〜。どちらから?」と・・・「小淵沢の駅からです。」と答えるととても信じられない面持ちでいろんな質問が飛ぶ。そういえば昨年も前穂高、北穂高岳の山頂で人気者になったものである。
今回はめんどくさいので笑ってごまかし、風が強いので岩陰に入り込みで初めての休憩に入る。握り飯2個とジャムパンを食べ、先ほど汲んだ「乙女の水」を乾いたのどに流し込み10分で完了。多少遅れ気味なので早々に出発する。遅くなると大好きな「温泉」に入れなくなるのである。絶対に許せないことなのである。そうなったら気が狂うかもしれないのである。このころから頭の中に我が命の「温泉」と「ビール」がちらつきだすのはちと早すぎですかね〜。でもしょうがないですかね〜。
続く
最終到達地は渋の湯という奥蓼科温泉郷。横岳(2825M)、硫黄岳(2760M)、そして天狗岳(2645M)と3つの峰を越えた先にある。達成すれば八ヶ岳本峰の峰をすべて日帰りでピークハントすることになる。残りの標準タイムは7:05。4時間かかれば全行程約10時間。到着が14:15〜20分となる。そ、そうすると〜・・・渋の湯の最終バスが14:52なので20分程度しか「温泉」に浸かれない!ヒエ〜!結構ギリギリなのである。
ガスにつつまれた急な赤岳の斜面を駆け下る。あっという間に鞍部に到達し、横岳へのやせた尾根の縦走開始である。ここはたぶん5〜6回目の縦走になるが晴れて視界が効いたことは一度も無い。ホント運が悪いのね・・・ そして今回さらに想定外の事態が・・・
続く
横岳への稜線はかなり痩せており、ナイフエッジになっているところがたびたびある。その箇所ごとに左右にルートが振られ、ハシゴ、ロープ、鎖などが設置されている。剣岳にもあるが「カニの横ばい」と言われる箇所もあるくらいだ。左サイドは基本的に絶壁で「大同心」「小同心」と言う日本有数の岩璧がある。ちなみに八ヶ岳の岩はもろく夏場はアタックできない。厳冬期、極寒で岩ががっしり締まったときに登攀するのである。
本題に戻ろう。人気ルートなので通行者が多く、ルートは極細。・・・と。そのとおり、つまり渋滞が発生するのである。まいった、まいった・・・。登山においては「登り優先」である。6〜8人ほどのパーティをやり過ごすにはかなり時間がかかるのである。こんなのが連なってくるとOUT。結局赤岳〜横岳間は標準タイム1:10のところ53:05を要してしまった。きっきびし〜。かなり追い込まれる。
しかし、まだ希望はある。今後の横岳から硫黄岳へルートは痩せ尾根も終わり、火山特有の丸く広々とした稜線へと変わる。さらに多少岩、石はあるものの登山道の構造は砂礫となるのである。つまり久しぶりに「走れる」のである。猛然と走り出す。またガスが切れ視界が開けてくる。申し訳ないがハイスピードで数々のパーティを追い抜いてゆく。そのたびに歓声が上がる。「すげ〜、走ってる!」と・・・さらには「がんばって!」と背後から声援が飛ぶ始末だ。横岳からなだらかな大斜面を鞍部に向かい駆け下ってゆく。このあたりを「大ダルミ」というがまさにそのイメージである。鞍部には硫黄岳山荘があるが、その前を鬼人の走りで通過。多くの休憩中を登山者からの歓声はピークに達した。
続く
硫黄岳へ登り返しは大斜面である。頂上もだだっ広い。このような山がガスで視界ゼロになるとまったく方向がわからなくなる。そのため迷わないように人の身長よりも高い大きなケルンがルート上に作られている。ケルンの脇を早足で登ってゆく。鞍部の硫黄岳山荘から標高で100M足らずの甘い登りだがさすがにもう走れない。よいこらしょ〜っと・・・。やっと頂上到着。ガスっており視界は余り利かない。気になるタイムは?標準タイム1:00のところ34:39。う、う〜む・・・。あんなに走ったのに結構かかってる・・・ガックリ。けっこうダメージが出てきた感じだ。
時間がないのですぐに出発。標高で300M程下の夏沢峠へ下ってゆく。もういいかげんUP・DOUNにうんざりしてくる。下りの途中ガスが切れ、目の前に本日最後の峰、天狗岳が現れた。夏沢峠がはるか下に見える。うわ〜!きっ、きびし〜! またあそこを登り返すのか〜・・・。正面に見える夏沢峠から天狗岳への登りがことのほか辛く見えた。急な下りを気合を入れ直し駆け下るがもうあまりスピードがでない。夏沢峠まで標準タイム0:40のところ0:25:56もかかり到着。小屋のベンチへ座り込んだ。
続く
小淵沢駅前をスタートしてから8:03:46経過。標準タイムの60%弱かかってしまった。今ちょうどお昼の12時20分。残りのコースの標準タイムは4:15。もう登る気力もないし、今のペースではバスに乗るのも危ない・・・う〜むっ・・・。 あきらめた。
早々地図を広げルート変更のプランを検討。おおっ!すぐ近くに温泉がある!実はエスケイプルートとして考えていたルートである。もう登りはなく延々と下るのみ。ただし、バスには乗れず、長大な八ヶ岳の裾野を全て自分の足で下り、小海線の「海尻駅」までたどり着かねばならない。距離的には予定のコースの2.5倍ある。しかし登りはないし、温泉には確実に入れるし、今日中に確実に家に帰ることができる。そうと決めたらすぐに下山開始。温泉まで下り標準タイム0:40。よく整備された登山道を気持ちよく下り、0:25:57でクリアーし到着。
その名は「本沢温泉」。八ヶ岳雲上の湯と呼ばれ日本有数の「秘湯」である。通年営業の「野天風呂」としては日本最高所(2150M)にあり、目前には硫黄岳の巨大な山塊を、眼下には湯川渓谷を眺めることができる。そしてここにたどり着くには誰でも約2時間ほど林道を登って来なければならない。私に言わせれば車に乗って行ける温泉は「秘湯」とはいわない。だって誰でもいけるのだから・・・。
続く
本沢温泉で小屋の親父に500円払って野天風呂へ向かう。水も底を付いていたので、小屋のおいしい冷たい水をペットボトルに詰めて出発、5〜6分で着く。湯川沿いのガレ場の岩を削って作られた浴槽は縦1.2M、横2.0Mほど。4〜5人入れば満杯、もちろん混浴である。
先客がいた。男性4名、女性1名でちょうど女性(ぽっちゃりして色白ですごく感じのいい若い娘)が着替えを終わり帰るところ。にっこり笑って「こんにちは〜」と言って横を通り過ぎてゆく。ムムムム・・・・ どのような状態で一緒に入浴していたのであろ〜か?男性4人はニヤニヤ笑っている。ウ〜ム・・・・ 勝手な想像をしながら速攻で素っ裸のなり湯船に突撃!お湯は硫黄塩泉の乳白色ですこぶる熱い。が、気もっちっいい〜いっ〜い!あまりにも激しい運動の後には温泉に尽きる!生きててよかったって感じである。男性4人はすぐに上がってしまったので幸運にも独占である。やた〜っ!野人大会だ〜っ!フリチンで大自然の中を動きまくる。湯船に2〜3回入ったり、出たりし温泉を堪能した後、史上最強のアイシング大会開始〜!沢に降りて川の中に下半身をつける!つっつっ冷めて〜!42度から5度への変態アイシングである。本性が野生児なので最高の気分である。こんなアホなことをガキに戻って繰り返し野天風呂を満喫した。
強烈にすっきりして小屋に戻り、最後1個の握り飯を小屋の前の野外テーブルで食っていると声をかけられた。おおっ!これは、これは!夏沢峠への下りで声援を送ってくれた方ではないかい!山にしてはお綺麗な女性2人組だったのではっきりと覚えている。「今日はもう降りちゃうんですか〜?」ときたもんだ。2人はここで一泊すると言う。まことに残念!泊まれば楽しい夜のひと時もまっていたのに・・・。こういう特典も付くのが快速登山の醍醐味?でもある。
2人は生ビール[大]を飲んでいる。のっのっ飲みて〜!目の前で話しながら飲まれると気が狂いそうである。打ち消すべく水をのどに流し込む。まだここから長大な下りがある。酔っ払っては捻挫あるのみ!海尻の駅で2リットル飲もう!と心に誓い2人にさよならして出発した。・・・背後から「生ビールおかわり頂戴〜!」という声が響いた。
次回 最終回
本性を発揮しまくった本沢温泉を出発し、あとは海尻駅まで延々と駆け下るのみ。標高2150Mから標高950Mまで標高差1200M、距離(おそらく)16〜18キロの大下降である。上部四分の一は気持ちの良い遊歩道、残りの四分の三は石がゴロゴロした林道である。(良かった・・・、生ビールを飲まずに・・・) 快調にキロ4:30〜4:40くらいのペースで文字通り駆け下りてゆく。本沢温泉〜稲子登山道入口まで標準タイム2:50のところ1:06:20というタイムでクリアー。(最後はかなりバテバテ・・・) ここで登山道とはお別れ。遂に林道から一般車道へと入る。
・・・っとここは? おおお! 懐かしや! 八ヶ岳100キロマラソンの40キロ付近ではないかいな。 そのままコースを回想しながら走り、このままでは松原湖方面へ行くので途中川の手前で右折。小海線駅で一番近い海尻駅を目指す。 下界に下りたことで緊張も解け、もう本当にボロボロ・・・。ペースはキロ6分も危うい走りである。廃人のごとくヨロヨロ走ってゆく。国道に出た!残り500M。ちょうど角に田舎の小さな万屋がありビールを置いていた。小さな集落なのでここでビールを調達。ヒヒヒッ・・・もちろん予定通りスーパードライ500ミリリットル4本である! はっ、早く飲みて〜!・・・ その思いで最後走りきる。 海尻駅にゴ〜〜〜ル!本沢温泉での野人大会等の大休憩を除き「10:08:35」の長い戦いであった。
海尻駅は、小海線がワンマンカーなので改札のない無人駅で、100M程のホームと小さな待合小屋がある田舎のおおらかな駅。私一人の独占状態である。次の電車が来るまで約50分。ホームに全て放り出し、ドッカと座り込み冷えたスーパードライを喉に流し込む。 うっ、うめ〜!うますぎる! ホント生きててよかった!
終わり